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我が愛しのカルト映画

カルト映画に限らず、主に旧作を中心に【ネタバレ】全開で映画の感想を書いています。
細かい考察はできませんのであしからず。

アリゲーター

Alligator

★★★☆

 

 

 

 ペットとして飼われていたアリゲーターが捨てられて下水道に潜んでいたが、製薬会社が開発した成長ホルモン剤の影響で巨大化して人間に襲いかかる!『ジョーズ』の大ヒット以降、動物が人間を襲うというホラー映画が70年代には手を変え品を変えてたくさん作られたが、80年代に入ってからはブームも沈静化して一時期ほど見かけなくなったような気もする。代わりに『ハロウィン』や『13日の金曜日』のようなスラッシャー映画が80年代には全盛期を迎えるわけだが、80年代の最初の年に公開されたこの映画は動物ホラー映画のトドメの一撃のような快作といえる。無駄のないストーリー展開のお陰で90分弱の上映時間がアッと言う間!

 

 

 製薬会社が開発した成長ホルモン剤は動物実験で犬に投与され、用済みとなった死骸は下水道に不法に遺棄をされていた。その死骸を食べたアリゲーターが巨大化して凶暴になり人間に襲いかかる。と、なにやら利益追求を優先するあまり非道なことをする企業への批判めいたものも感じるが、このあたりは脚本を手掛けたジョン・セイルズのセンスなのだろうか。諸悪の根源である製薬会社の社長宅で開かれた結婚パーティをご丁寧にもアリゲーターが襲いかかる。図体がデカいだけにシッポをブンブンと振り回して会場に集まった人々がポンポンとすっ飛ばされる(このシーンの小気味よいテンポといったら!)。パーティ会場が阿鼻叫喚の地獄絵図となり果てるシーンは本作の見所のひとつだ。

 

 迷路のように複雑に入り組んだ下水道と、その下水道の汚水の中から襲いかかってくるアリゲーター。地上に出る縦穴まで辿り着くもアリゲーターに足を噛まれて引き摺り込まれてしまう若い警官。『ジョーズ』からの影響がモロにわかるシーンも頻繁に出てくるが、エピゴーネンも時にはオリジナルに迫る面白さを発揮することもあるのだ。セイルズが脚本を手掛けた『ピラニア』も『ジョーズ』の影響下にある映画だったが、B級感覚を上手く出しながらオリジナルに迫る快作に仕上がっていたことを考えると、セイルズはなかなかの才人なのだ。見せ場をキッチリと押えているところなんか、観客が求めているものをよく分かっている証拠なのだと思う。

 

 

 

 インディペンデント系の映画の強みか、メジャーがやらないこともやっていて、普通、この手の映画では子供が犠牲になることはあまりないのだが、プールに潜むアリゲーターに子供が餌食になってしまう悲惨なシーンも出てくる。主演のロバート・フォースターは髪が薄くなり始めたことを気にしている刑事役を好演。爆弾を仕掛けてアリゲーターを吹き飛ばそうと勇猛果敢に下水道に入るも、出口のマンホールの蓋の上を車が停まってしまい地上へ出られくなるシーンは観ているこちらも本気でハラハラする。凄腕のハンターという触れ込みの大佐を演じたヘンリー・シルヴァは、相変わらずいい味出しています。取材に訪れたTVレポーターに調子に乗ってアリゲーターの鳴き声を真似てみたりしたけど、ホントにあんな声で鳴くんかね?

 

映画とは関係ないけどヴァンデンバーグのこのアルバムのジャケみたいなシーンが出てきます