新シャーロック・ホームズ おかしな弟の大冒険(1975) | 我が愛しのカルト映画

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細かい考察はできませんのであしからず。

新シャーロック・ホームズ おかしな弟の大冒険

The Adventure of Sherlock Holmes' Smarter Brother

★★★

 

 

 

 あの名探偵シャーロック・ホームズにはシガーソンという名の弟がいた!ヴィクトリア女王から授かった機密文書をめぐるミステリーなのだが、メル・ブルックス作品でお馴染みのジーン・ワイルダーの手にかかれば普通のミステリーで終わるはずがない。シャーロックとワトソンは休暇に出かけてしまい、兄の留守中を預かった弟のシガーソンがロンドン警視庁のサッカー巡査と共に難事件に挑むのだが、ドジで思い込みの激しいシガーソンは果たしてこの事件を解決することができるのだろうか?どうやらシャーロックの宿敵のモリアーティ教授がこの事件の裏に絡んでいるようなのだ。

 

 

 正直、ミステリーとしてはこなれた映画とは言い難いが、これはギャグを描くことを優先した映画なので、ミステリーを期待して観るのはお門違いなのだろう。事件の鍵を握る歌姫のジェニーも巻き込んで、次第に事件の真相に迫ってゆくシガーソンだったが、実は兄のシャーロックが陰ながら彼を手助けしていたようなのだ。弟のシガーソンは優秀な兄のことを嫌っているようだが、少々出来が悪くてもシャーロックにとってシガーソンは可愛い弟。ジェニーとの仲も取り持とうとする出来た兄なのだ。そんなことは露ほども知らないシガーソン。世界中にいるシャーロキアンも納得の展開なのだ。

 

 

 ミュージカルの如く突然、歌い、踊り出すシーンに最初は戸惑いもするが、メル・ブルックス監督とコンビを組んできたジーン・ワイルダーだけに、メル・ブルックス譲りのお約束なのだろう。高い知的能力を持った数学教授であるモリアーティ教授はどこか頭のネジが緩んでいるかのようで、突然、奇声を発したりする危ないオッサンなのだ。シガーソンもまたフェンシングが得意らしく、クライマックスではシガーソンとモリアーティ教授のフェンシング対決が繰り広げられる。舞台劇に使う小道具が所狭しと並ぶ屋根裏部屋でのバトルはなかなか見応えがある。主演のジーン・ワイルダーはこれが初監督作品だが、笑えるギャグが満載で、とても楽しい映画に仕上がっている。なかなかの才人なのです。

 

 

 ギョロ目で一度見たら忘れられない顔のマーティ・フェルドマンもブルックス作品ではお馴染みの怪優。記録器並みの記憶力をもつサッカー巡査だが、それを発揮するにはいちいち頭を叩かないとダメらしい。巨大な丸ノコが迫る狭い部屋に閉じこめらてしまったシガーソンとサッカー巡査が危機を脱する方法と、その後の顛末が笑える。出演は他にもマデリン・カーン、ドム・デルイーズとメル・ブルックス作品の常連俳優が顔を揃えている。撮影現場はさぞや賑やかだったことでしょう。

 

 

 シガーソンもシャーロックもファーストネームは「S」だから、新聞の見出しに「S・ホームズ、歌姫を救う」みたいに書かれちゃうと何もしていなくてもシャーロックの手柄にされちゃう。そりゃ、シガーソンも恨むわな。

 

 アルバート・フィニーがカメオ出演しています。