術後
日目
日目 さて、明後日には退院だ
ふと、ちありんさんにアドバイスいただいていたことを思い出した
「退院に向けて、靴を履いて歩く練習をするといいよ。スリッパと全然違うから～
」
」 と言われていたのだ。
今日は朝から、靴(と言っても、ペタンコパンプスなんだけどね。)を履いてお散歩
うんうん、歩きやすいわ
特に階段は、スリッパと比べると、断然靴の方が楽チン
表現は変だけど、靴を履いたり、コンビニ行ったり…“普通の人”の生活に少しずつ近づくと、
「あぁ～、本当に退院するんだなぁ…。」
と、実感めいたものが込み上げてくる。
それと同時に、退院することへの不安も募る。
“普通の生活”が出来るのだろうか…家事や子育て…やっていけるのかな…家に帰れるのは嬉しいけど、不安は大きい。
昨日から、少しずつ荷物もまとめ出した。
退院は目前
やっぱり嬉しい
さぁ、退院を前に、お隣さんと少しずつ挨拶回りをしに行くことにした。
行き先は、もちろん転棟前にお世話になっていた病棟
術後ＩＣＵから戻ってきた、管だらけのサイボーグ状態だった私たちを献身的に看護してくれた看護師さんたち。
ただただ、痛い・痛い・痛い…それだけだった頃、いつも笑顔で前向きな言葉をかけ続けてくれた。
元気になって退院するんだお礼を言わなきゃというわけでやって来た。
お礼を言わなきゃというわけでやって来た。 みなさん私たちが明後日には退院することは知っていて、顔を合わせると「もう退院やねぇ
」と声を掛けて下さった。
」と声を掛けて下さった。 今日会えた方には「お世話になりました」と頭を下げてお礼の気持ちを伝えることができた。
さぁ、いろいろな手続きが終了し、いよいよwhiteさんが退院する。
whiteさんは、物静かで控えめで、女性らしい方だ。
私とは…正反対のタイプだった。
「white」というだけあって、色白。本当に白い。透き通る白さは、羨ましすぎる。
それでも芯はしっかりしていて、女性らしい強さがある。
入院中も、静かに自分の病と向き合い、過ごされていた。
そんなwhiteさんが、迎えに来た旦那さんと、静に退院して行く。
私はタイミング悪く、看護師さんが来て検温中
終わったら、直ぐに後を追い掛け、一階へ向かう。
お隣さんが見送りで一緒に降りてるはず…見当たらずキョロキョロ見まわしていると、お隣さんが私を見つけてくれた。
間に合ったぁ
みなさんそうだが、私服に着替えると、別人のようだ
whiteさんも、うん。ちゃんと“普通の人”だ
whiteさんは、見送りはここまでで大丈夫～と、旦那さんと方を並べ仲むつまじく帰って行く。
お腹の辺りで小さく手を振るwhiteさん。
…手の振り方まで謙虚だ
と、おとなしくここで別れる私とお隣さんではないっ
別れたと見せかけて…お二人がバスに乗り込むのを確認
し、バスが出発寸前に
し、バスが出発寸前に「バイバ～イ
」
」 驚いた様子のwhiteさんと旦那さん
バスが見えなくなるまで手を振った。
whiteさん。
入院して、初めてのお仲間はwhiteさんだったね。
同じ日に手術ということで、二人で不安を語り合った日々が、今では懐かしい
whiteさん、ありがとう。
貴方のような女性を目指します。(かなり無理があるけど
)
) さて、whiteさんを見送って病室に戻ると、今度は同室さんの転棟だ。
同室さんは、米村先生の腹膜切除手術を受けるために、もう3ヶ月もここ草津で治療を受けてきた。
やっと…やっと…数日後に手術となったのだ。
来る手術に備えて、私たちがいた術後病棟に転棟するのだ
やっと手術が受けられる…彼女の気持ちがよくわかる。
よかったね、よかったね
もうすぐだよ、頑張って
そんな気持ちで、お隣さんと転棟を見送った
彼女が、笑顔で退院の日を迎える日が来ますように
次のお見送りは“旦那さん&奥さん”だ。
彼も今日、晴れて退院となるのだ
退院する際、私とお隣さんに声を掛けに来てくださった。
旦那さん、私服に着替えてすっかり“普通の人”だ
首から下げたタオルは、彼のトレードマーク
新幹線で帰る“旦那さん
奥さん”今日は、娘ちゃんとお母様も一緒だ。
奥さん”今日は、娘ちゃんとお母様も一緒だ。 まだ身体が辛そうだが、娘ちゃんのベビーカーを押しながら歩くと、少し楽そう。
「辛くなったら、ベビーカーな乗っちゃえ」
」 なんて、私とお隣さんにチャカされながら、お別れとなった。
術後病棟へご挨拶に行かれるとのことで、エレベーターホールでお別れ
無理しちゃだめだよ～
明るい奥さんがついてるから心配ないね
いつでも笑顔の奥さんに、私も元気をもらっていたよ
貴方の笑顔は世界一
私も“奥さん”のような奥さんにならなきゃな
今日は「お見送り」の一日だったね。
病室に戻り、お隣さんと二人きり、そんな話をしていると、直ぐに新しい同室さんがやって来た。
私たちがいた、術後病棟から転棟して来た５０代後半くらいの方かな。口数が少なく、まだお辛そうだ。
午後、入院生活最後のシャワーを浴びた。
“最後の○○”を迎える度に、なんだか寂しいような気持ちにもなる。
こう長く生活していると、この入院生活にも愛着がわくのだ。
夕方、空を見て思わず撮った１枚をアップ
沈む前のほんの一時だが夕焼けと夜の色が重なるグラデーションがとても綺麗だった。
普段生活していると、夕焼けの時間はチョー忙しい。
『仕事中～退勤～次男のお迎え～夕飯の支度』
このいずれかの時間帯だ。
夕焼けを眺める時間も余裕もなかった。
今はこうやって自然の神秘を見ながら感動し、心を潤すことができる。
こういう時は、
「病気になっていろんなものを失ったけど、得られたこともあるなぁ～。」
と、少しだけ得した気持ちになる。
実は昨晩はあまり眠れなかった。
夜中に胃痛で目が覚め、朝方まで寝たり起きたりを繰り返していたのだ。
胃痛の原因はわからなかった。
もしかして、退院することへの不安があるのかな。
リニューアルした(手術を受けた)自分が、いよいよ世間という荒波に放り出されるのだ。
ずいぶんナーバスだが、それくらいのドキドキがあるのだ。
この身体が、外の世界でどれだけ通用するのか…正直、不安だ…。
そんな不安からの胃痛なのかも…案外私ってば、ナイーブ
ちょい、「マタニティーブルー」ならぬ「退院ブルー」的な状態
複雑なお年頃だ(笑)
まあ、そのお陰で寝不足となり、夜には頭痛に悩まされた
談話室でお隣さんと談笑中、担当医が来て処置のあるお隣さんは、先生と処置室へ。
「ここで待ってるね～」
」 と言って見送ったのだが、何となくだった頭痛が、ズキン…ズキン…と強くなってきた。
(お隣さん…ごめん…
)
) と、お隣さんの荷物を持って病室にもどる。
そのまま横になり、就寝時間前に眠ってしまった