座右の銘 | ☆妻の子宮体がん日記+その後のこと☆

☆妻の子宮体がん日記+その後のこと☆

子宮体癌(低分化類内膜腺癌 G3)ステージ4b、遠隔転移あり。
3年間の闘病の末、2016年7月、妻は永眠しました。
闘病と治療の経過、死別と立ち直りについて綴って行きます。

妻が旅立ってから2年、仏教的には3回忌という大きな節目を迎えました。

なにか総括的なことを書こうかとも思ったのだが、なんだかそういう気分でもない、というか、もうそういうことはいいのかなという思いもある。

 

 

 

昨年秋、妻の遺品整理をしていた時にある詩を発見した。

妻が仕事で愛用していた大判のビジネス手帳の裏表紙に書かれてあったものだ。

しかも十数冊の手帳全てに同じ詩が書かれてあった。

おそらく、毎年新しい手帳を使う前に、妻が手書きで書いていたのだろう。

つまりは「座右の銘」に違いない。

 

英語にすると「Thanks Giving」と題されたその詩を見て、僕は素直に感動した。

素朴でシンプルな詩ながら、そこに書かれていたものは、

彼女の生き様そのものだったからだ。

 

 

以下は、B国語からの拙訳。

( )内は僕が補足しました。

 


主よ、素晴らしいことです。

よく動く両腕を持つことは(素晴らしい)
多くの不自由な人がいるというのに

よく見える両目を持つことは(素晴らしい)
多くの目の見えない人がいるというのに

歌える声を持っていることは(素晴らしい)
多くの声も出せない人がいるというのに

働くことができるということは(素晴らしい)
多くの人が物乞いをしているというのに

帰る家があるということは素晴らしい
多くの人が帰る家さえないというのに


素晴らしいことです。


愛し、生き、笑い、夢見ることは。
多くの人が泣き
憎み、悪夢に行き着き、
生まれる前に死ぬというのに


信じる神を持つことは素晴らしい
多くの人が慰めを持たないというのに


主よ、素晴らしいです。

何よりも
あまり(誰かに)頼ることもなく
多くに感謝することは


    -Michel Quoist-

 

 

何気ない日常に感謝し、そのしるしとして与えること。

 

妻は、この言葉の通りに生きました。

まるで、それが当たり前であるかのように。

 

彼女の職業は矯正歯科医。

医療ボランテイアのプログラムにも参加していて、

多くの貧しい家庭の子供たちを無料で治療していました。

時には、交通費や学費を援助することもありました。

 

 

病気になってからも、誰を恨むこともなく、感謝の心を持ち続ける、

そんな女性がいたことを、僕は決して忘れません。

 

これからも、ずっと。

 

 

 クリニックでの一コマ。ビジネス手帳を手に。

 

 

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