かなり難しい手術
医師からは
手術が終わるまで
院内で待つようにと言われた
急変する可能性を考えてのことやろう
長い長い待ち時間
考えることは最悪の結果のことばかり
なんとか少しでも良いことを考えようと
すみれちゃんが元気に帰ってくる姿を想像する
手術室の電気が消え
先生からのお話を聞くのを待つ
いくら待っても
先生は来ない
手術の後の呼吸管理が
1番難しいことがわかっているだけに
嫌な予感がした
長い時間が経ち
呼ばれたのは手術室やった
手術は成功した
手術中の急変もなく
臓器は全部当たり前の位置に戻った
そして人工呼吸器から自発呼吸に
戻った途端に
すみれちゃんは気胸を起こした
ゆっくりゆっくりと
人工呼吸器で管理してくれていた肺やけども
自分で空気を吸った途端に
損傷してしまった
肺にチューブを入れ
空気を入れて膨らませても
すぐにしぼんでしまう
肺は両側に2個あるけども
細かく言えば5個ある
すみれちゃんは
ほとんどの肺が機能しておらず
損傷を起こした肺を取り除くと言うのは
不可能だった
機能している肺に損傷を起こしたことで
かなり厳しい状況になっていた
先生は強心剤を投与してくれたり
ものすごく頑張ってくれたけども
問題は心臓ではないことを
わかっていたはず
もう苦しませたくない
これ以上すみれちゃんに
負担はかけたくない
再度装着してくれた人工呼吸器を
止めてもらった
いっぱいいっぱい話しかけて
いっぱいいっぱい撫でてあげた
すみれちゃん
おかーちゃんの声は聞こえたかな?
私はすみれちゃんが少しでも
呼吸が楽になって
ゆっくりと横になって休めたらと
手術に踏み切った
結果
それがすみれちゃんの命を縮める
ことになってしまった
家に入れなければ…
手術しなければ…
すみれちゃんはしんどい時は
自分で呼吸を整えながら
もう少し生きることができたはず
自分のエゴで
すみれちゃんの命を縮めてしまったこと
後悔しても仕切れない
本当にすみれちゃんはいい子やった
噛むことも引っ掻くこともなかった
そのすみれちゃんが
病院に行く時に
キャリーに入るのを必死に抵抗した
あの時の不安そうな表情が
忘れられへん
あの時の顔を思い出すと
本当に苦しい
私はなんてことをしてしまったんか…
すみれちゃんには
申し訳ない気持ちでいっぱいで…
もう後悔しか残らない