康定パトロール~再開発と大開発②
「康定ニュータウンにマンション買ったんだ。まだ建設中なんだけどあとで見に行かないか」
一緒にランチしていたDの旦那Cが唐突にそんなことを言い出したので、「康定ニュータウンってどこ?あの二郎山トンネル抜けて少し経つと通り過ぎるマンション群のこと?」
と問い返すと、
C:「いや違う。康定河(折多河)をずーっと登っていったところに新しく大きな団地作っていてそこが康定ニュータウン。あ、そうそうカンパホテルって立派なホテルもできたから今日そっちに移らない?なんかヤンゾンホテルみたいな安宿に泊まってるの見てるとこっちが忍びないからさ」(←余計なお世話です・泣)
ということで康定ニュータウンの視察も兼ねて急きょ宿を移動することになり、Cの車で康定ニュータウンへ向かう。康定市街から折多河に沿って車で10分くらい登って行くと、、、
康定ニュータウン全貌。ざっと見積もっても数千、或いは万単位で入植できる規模だな。。つーか団地と言うよりも一つの都市でしょコレ。。
康定は県人口で11万、市街人口で3万数千人と都市規模としてはたいした大きさではないが、それでもカンゼ・チベット族自治州の州都でありカム地方最大の都市であることは間違いない。2008年には市街から40km離れたところにダルツェムド空港
(康定空港)が開港し、現在は鉄道の敷設が進められていると聞くのでもしそれが開通すればアクセスの悪さのおかげで今まで開発から免れてきたカムにもいよいよ西部大開発の余波が到来するのは想像に難くない。
と、まぁこう書くと一部の熱狂的?なチベット支援者の方々からは「中国がチベットを侵略していてケシカラン!!(怒)」との声が聞こえてきそうだが(それがゼロだとは言わないが)でもよく考えてほしい。チベット人だって豊かになりたいし、より文化的、快適な生活がしたい。これは人間である以上当然の望みだと思う。現に努力の結果、マイホームを手に入れたCの顔はとても誇らしげだったが、一方で彼はチベット人としてのアイデンティティーをとても大切にしている男でもある。また、悪名高き遊牧民の「定住政策」ですら牧民戸籍の知人に言わせると「多くの遊牧民が実は遊牧なんかやめて町に定住したいのがホンネ。だから政策自体は間違ってはいないんだけどようはやり方に問題があるだけ」と言っていた。
それでは開発の実態を探るべく今からニュータウン内に潜行します(`´)ゞ
外装だけチベットっぽく(しかもポタラ宮っぽくw)仕上げたマンション。これは崖に緑色のペンキを塗って緑化したりチャウチャウの毛を白黒に染めてパンダ化したりする中国のお家芸を応用したものかと思われる。
本日のお宿の康巴大酒店(KHAM HOTEL)。
一泊1000元と聞き裸足で逃げ出しそうになった(が、Cが払ってくれた)。
しかも(ヤンゾンホテルに一ヶ月泊まれるな…)などとさもしい計算をしてしまうあたりがチベットでも負け組のオレ…orz
ホテルのロビー
ここがダルツェンドであることを忘れさせる高級感あふれる室内。
ガラス張りのエレガントなバスルーム。全裸でパンゲンメトを踊りたくなった。
まさかチベットでバスローブを着る日がくるとは思わなかった。あと他に必要なのは大きなブランデーグラスになみなみと注いだチャンだけだな。
とまぁどうですかこのホテル。しかも外は小雪が舞い始めているというのに室内ではエアコンが静かに、そして快適に効いており、リビドーを抑えられなくなった自分は思わず、、
気を取り直し24時間営業のホテルのバーにて諜報活動の記録を付ける。「一人歩きの中国語自由自在」が立ちあがっているところが切ない。。
眼下を眺めると馬が呑気に散歩していて(あーやっぱここチベットだわ)とちょっぴり和んだ。
朝食は一階のレストランにてビュッフェスタイル。様々な料理が数十種類並んでおり、色々皿に取って食べてみたところ、一つ一つの料理がビックリするくらい不味かった(苦笑)。
朝ホテルまで迎えに来てくれたCが申し訳なさそうに「ゴメン、今日も泊まってもらいたかったんだけどあいにく今日は満室なんだって…」と言うので「別にいいけどこんな巨大な高級ホテルが満室になることなんてあるの?」と問い返すと、
C:「警察がクリスマスパーティーを開くからホテルを丸ごと借り切っちゃったんだってさ…」
とのこと。。。(どうりで朝から公安の車が…)
世界中に問題のある国家・警察は数多あれどなにもそこまで分かり易く権力を謳歌しなくても…とこれにはさすがに呆れ果ててて言葉が無かった。が、これが後にとんだとばっちりをオレに招くことになり、その時はさすがに怒り狂って危うく憤死しそうになった!!
と言うのはこの日はクリスマス・イヴ。オレはカンゼ歌舞団のキレイどころのお姉さまたちと一年前から飲み会(もともとは合コン)の約束をしていたのだが、それがこのストゥーピッドなお巡り達がパーテーなんぞ開きやがったおかげで余興に呼び出されてしまい急きょキャンセルになってしまったのだ(怒)!!
この小公安!!公安鬼子!!謝れ!!オレのこの「胸騒ぎの放課後」みたいなピュアな心を踏みにじったことに対して謝れ(号泣)!!
◇
康定を起点に今後も開発が進むであろうカムエリア。
チベットらしさを見に行くのであれば今のうちかもしれない。