功績末永く後世に 多田等観記念碑除幕式~花巻 (07/15) | チベせん日記

功績末永く後世に 多田等観記念碑除幕式~花巻 (07/15)


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【写真】関係者の手で除幕された多田等観生誕120年周記念碑


花巻ゆかりのチベット仏教学者・多田等観(1890~1967年)の生誕120周年記念碑の除幕式が14日、花巻市の円万寺観音山の観音堂境内で行われた。等観が観音堂の一燈庵で詠んだという漢詩や略年譜を刻んだ石碑で、地元の円万寺観音山を守る会(畠山博志会長)が建立。チベット仏教研究に生涯をささげた等観の功績を末永く伝える。

 除幕式は同山の観音様の夏祭りの中で行われ、地元湯口地区の住民ら100人余りが出席した。雨降りとなる中、大石満雄市長や守る会の畠山会長、地元の児童代表ら関係者16人が一斉に純白の幕を引いた。

 現れた碑は高さが最大2メートル、幅2・9メートル、奥行き1メートルで、秋田産の自然石やインド産の黒御影石を使用した。花巻とゆかりの深い等観の遺徳を顕彰し、等観が詠んだ漢詩「萬峰環一菴門開雲自入」を冒頭に置くとともに、等観の略年譜と紹介文を刻んだ。

 式辞では、畠山会長が「生誕120周年記念碑の除幕式が盛大に行われたことは大きな喜び。住民の浄財やコミュニティ会議と市の補助などを得て建立したもので、皆様の協力に厚くお礼を申し上げるとともに、記念碑を大切に守っていくことをお誓いする」と述べた。

 また、湯口小学校の6年生48人が等観の研究発表も行った。児童一人ひとりが等観の生い立ちや湯口地区とのかかわりなどを寸劇を交えて伝え、全員で「湯口地区の中に等観さんは生きています」と声を合わせた。

 多田等観は1913(大正2)年に単身チベットに渡り、約10年間チベット仏教を修行。ダライ・ラマ13世の信頼も厚く、帰国の際には多くの仏典、書籍が贈られた。戦時中は実弟の住む花巻に疎開し、貴重な資料が花巻に残された。同山に一燈庵を建て、地元の住民と交流を続けた。観音堂にはダライ・ラマ13世が等観に贈った観音像が安置されている。 【岩手日日新聞社