エリート商社マンの秘密
再開発が進む市内某所でのこと。
区画整理に引っかかった古いアパートを取り壊して更地にし、換地処分することになった。
今どき“風呂なしトイレ共同”のボロアパートなので居住者は三名しかおらず、立ち退きはスムーズに行われたのだが、この中に一名、謎の人物がいた。
その人物とは某大手商社に勤めているエリート商社マンで(仮にA氏とする)、仙台に勤務していた10数年前に自宅とは別にこの部屋を借り、以降、転勤で仙台を離れた後も10年以上、この部屋を借りっぱなしの状態だった。
初めのうちは「女でも囲っているのだろうか?」などと話していたのだが、まさか風呂なしトイレ共同のどくだみ荘に囲われる女なんていねーだろwwということになり、いずれ家賃はキチンと引き落とされているのでその真相は闇の中だった。
で、今回立ち退きということになったのだが、なにせ仙台を去られてから10年以上経過しているので借主の現住所が分からず、仕方がないので引き落とし口座に使っている銀行に事情を説明してご本人と連絡を取ってもらい、ようやく連絡が取れ、解約にも快く応じてもらえた。その際A氏から、
「お代は支払いますので部屋の中にあるものは全部そちらで処分してくださいね♪」
と言われていたので翌日、確認のため担当者Sさんと部屋へ踏み込んでみると、
ガチャ、、
何年も換気していなかった部屋は埃っぽく、すえた臭いが立ち込めている。
部屋の中には女性物の服や化粧品が所狭しと並んでいる。
Sさん:「わー、やっぱオンナ囲ってたんですかねー。それにしてもみんなサイズが大きいや。随分と大柄な女性だったみたいですねー」
って、Sさん、オレは違うような気が。。
オレ:「・・いや、ここってひょっとして衣裳部屋だったんじゃないっすか。。」
Sさん:「衣裳部屋?誰の??」
オレ:「だ、だから借主Aさんの…。」
Sさん:「えっ?!ちょ、ちょっと待って!!それってつまり…」
(; ・`д・´) じょ、女装癖!! (`・д´・ ;)
・・いや、人の趣味嗜好をとやかく言うつもりはないし、まして社会的属性でもって色眼鏡で見るようなことをするつもりはないのだが、一流企業のエリート商社マンが女装して夜な夜な仙台のドヤ街を練り歩いている姿を想像すると、思わず仙台ローリー(←ググってね♪)あたりに相談したくなるのはなにも自分だけではないだろう。
ううむ、人生色々だぜ。
ちなみに三名の居住者中、Aさん以外の二名は「スムーズに立ち退いてもらった」と書いたが、実は他二名のうち散々家賃を滞納していたB氏は期を見て敏と夜逃げ、もう一人の孤独死にリーチのかかった廃人寸前のおじいちゃんは仙台市の施設に引き取ってもらったというのが実状。
ま、「スムーズに立ち退いてもらった」ことには変わりはないのだが(苦笑)。
前略土門さん、
日本の夜明けはまだ先のようです。