中山法華経寺にある蒋介石総統の胸像

 

 

市川市の田中市長の広報(6月1日号)コラムから

中山地域を散策

画像:田中家の前で
▲田中家の前で

 その日は、水防訓練が始まる前の少しの時間をもらい、中山に向かいました。
 それは、中山法華経寺の参道で130年の長きにわたり飲食を提供していた「田中家」が店を閉じることになったからです。「田中家」の店主は地域やお寺の行事にも積極的に協力してくださり、長きにわたり地域から愛されている方です。私のことも、いつも気持ちよく迎えてくれる店主にお会いしたいという気持ちで、最終営業日である5月20日にうかがったのです。
 一緒にお仕事をされていた方は西千葉から通っていると初めて聞き、お二人には心から「お疲れさまでした」と伝えたところ、何も注文していないにもかかわらずラーメンとアイスコーヒーを出していただき、さらに、私の身体のことをいたわってくれたのでした。
 お二人に深々と頭を下げ、中山法華経寺のお世話になっているお上人にご挨拶をしようと境内へ向かうことに・・・・。
 話は変わりますが、みなさんは境内に蒋介石(しょうかいせき)の胸像があるのをご存じでしょうか。蒋介石は、若く日本に留学し、東京振武学校(国立の軍人養成学校)で学び、また1912年からは日本に亡命した歴史を持つ方で、市川市名誉市民でもある中村勝五郎氏と深いご縁があります。
 そして私の頭の中で、蒋介石の忘れることのできない言葉がよみがえってくるのでした。それは「怨(うら)みに報いるに徳を以(もっ)てす」という言葉です。今もなお戦争が続いている世界の情勢をみたときに、報復の連鎖によって平和が遠のいてしまうことを感じている私は、先の終戦後にこの言葉をもって日本を擁護してくれた恩を忘れてはいけないと思うのです。胸像に手を合わせ、急いで水防訓練が行われる菅野に向かう前のひと時の散策でした。

 

 

※蒋介石は中国国民党総統。戦争中は日本軍と戦い、戦後対日賠償を放棄。

その後毛沢東の共産党と戦い台湾に逃れ、日本とは友好関係に。

 

※中村勝五郎は鬼越の味噌屋で、東山魁夷を支援したことでも知られる資産家です(しんちゃん注)