近所のスーパーで、「ネギトロ巻き」が売られてる。
売り場の後ろにちっさい調理場らしきものがあって、おすし屋さんのハッピと帽子(縞々っぽくて四角っぽいやつ)を身につけたパートらしいおばちゃんたちが巻いたり握ったりしてる。
このおばちゃんたちは、きっと店主のほうから腰はなるたけ低いようにと申し付けられてて、大概の注文は「はいはい。」とこなす。
「すみません・・、ネギトロ巻きなんですが。」
「はいはい」
「これのワサビ抜きって出来ます?」
「はい、お巻きしますよ。何本ご用意しましょう?」
「えっと一本でいいんですけど・・・。」
「はい、かしこまりました。どうぞお買い物お続けください。ご用意しておきますので。」
ここまでは何の苦もなくできる注文。すし屋のサビ抜きはカウンターでもお持帰りでもアリアリだし。
ちょっと勇気がいるのは次のモウ一声。
「あのう、ネギも抜いてください」
ネギ抜いたらもはやネギトロ巻きではないでないか。。は、百も承知二百も合点の上での敢えての注文だ。
けどおばちゃんたちは「はいはい。」と極当たり前に受け付けてる。
もしかして、案外そういったオコチャマモチのマダムたちでもいるのだろうか・・・?
ちょっと 安心したものダ。
で、帰ったワタシは考えた。
ちょいまてよ。 ネギトロ用のネタ(叩き潰されておそらく何かの脂と混ぜ込まれたマグロ)なら CO-OPとかなら368えんくらいで売ってたりするゾ。
全形の焼き海苔だって 10枚で298えんから売ってるし、何よりウチラのコドモは「実は酢メシはキライ」だから、普通のゴハンで巻いても苦情はでないはず。
おお!家で、できるでないか!。
「はいはい、やっとその気になりましたかぁ」とイソイソ登場するように、ひょっこり巻き簾もでてくるででくる、台所の引き出しの中。
(これは亡くなったお姑さんのもの。彼女は料理上手だったので、そういったグッズは我が家にはあまさず揃ってる。ただ、大抵がいずこへかと家庭内で遭難してるだけども)
巻き簾、焼き海苔、ネギトロのネタ、ゴハン
おーし、完璧揃ったゾと、やる気満々で立ち向かってみる。
まずは巻き簾の上に焼き海苔だよな。海苔のウラオモテぐらいわかるさ。ふふん。
・・・けど巻き簾のウラオモテってどっちがどっちなんだ、これ?まあいいや。
んでゴハンを載せるっと。・・・こんなもんか?こんなもんだろ、へへへん。
次にネタだ。ほーれ、ボトボトボト・・・
おーし、巻くゾ、巻くゾ、は、やっゾ。
ぐり ぐり ぐり わーいできたぞなもし。
で、切ってみる。ざくざくざく ぐさぐさぐさ。
・・・なじぇ、端っこからむにゅーっとゴハンがでてるんかなぁ・。
ほんでもって ネギトロネタが 円のこれまたハジッコにへばりついてるし。
ハミダシはともかく、何度巻いても 「中心」にネタがこない。ときにはナルト状態になってたりもする。
お皿に出したお醤油つけて食すことにする。
見るとオコタチは結構奪い合って喰ってる。
ワタシハワタシで お醤油つけてはむはむしながら考えた。
”スーパーのオバチャンたちは偉大だなぁ。。”
そんなこんなで本日も、そのスーパーに買い物に行く。
オバチャンたちの売り場の前を通ると、
「いつもありがとございます」と、オバチャンたちのほうからにこにこ声が掛かった。
・・・・・・・・・ワタシ、カオを覚えられた らしい。