明るくなった火災現場は、
 
また印象がゴロッと変わります。
 
 
自分の記憶にある風景と
 
なんだか少し違うようなそんな感覚に囚われます。
 
 
どこが燃えていまいしたか?
 
から始まって、
 
窓枠は焼け落ちていたか?
 
消火器はどこに向けて噴射したか?
 
などなど
 
根掘り葉掘り聞かれました。
 
 
最後に・・・
 
現場で老人男性を見かけたか?
 
という質問を受けました。
 
 
警察は放火犯を追いかけているのだと
 
すぐにわかりました!
 
 
でも、
 
ユウキは消火活動中、
 
誰一人見かけてはいなかったのです。
 
 
ユウキが現場に到着した時には、
 
すでに火の手が大きく上がっていたので、
 
放火犯がいたとすれば、
 
すでに現場から離れていたはずです。
 
 
そして・・・
 
野次馬が集まる頃を見計らって、
 
再び現場に戻り、
 
火災の状況を確認していたはずです。
 
 
目撃証言にあった老人は、
 
おそらく野次馬の一人と考えていいでしょう。
 
 
自分が容疑者の一人になっていることなど、
 
微塵も感じてはいないはずです。
 
 
「今どきの若者は!」
 
とよく耳にしますが・・・
 
ユウキから言わせれば、
 
「今どきの年寄りは!」
 
というケースの方が多いと感じます。
 
 
信号のない道路の無理な横断、
 
半ば理不尽に若者を叱責する様、
 
セクハラをセクハラだと認識していない無知さ、
 
自分が一番正しいと思い込んでいる傲慢さ、
 
過去の自慢を永遠と続ける自己顕示欲・・・
 
どれをとっても褒められたものではありません。
 
 
またまた話が逸れてしまいました。
 
すみません。
 
 
「おそらく野次馬の一人だったのではないですか?」
 
警察に対してユウキは進言しました。