先週から、

今日は行ける

と言われてた。





でも自分の中でどんどん大きくなっていく五嶋さんへの想いが怖くて、
会うのが怖くなってもいた。



会いたいのか



会いたくないのか



それすらよくわからなくなって。





上司と飲んでいると、



『帰る時連絡する』



とメールが。





ずっと迷っていて、



迷った末に

『今日はたぶん会えないです』

と送った。



『どしたん?
帰ってこないんか?』



『具合よくなくて。』



それでも五嶋さんは


『後で見舞い行くから寝てなさい』


と言ってくれる。



『やだ来ないで

今日機嫌悪い』




本音が出た。



具合なんて悪くない。





会いたくて



会いたくて



仕方ないのに




会えなかったから



嫌だった。





さみしかった。






夜中、

五嶋さんは来た。






ベッドに伏せて顔も見ない私に



「どしたん。

具合が悪いんか?

機嫌が悪いんかどっちよ。」



ぽんぽんと頭を撫でられる。






1ヶ月



会えなかったんだよ。



寂しかったよ。



もう嫌い。



五嶋さんなんか、嫌い。






嫌いになれたら、

いいのに。





「言わなくても大体わかるし
言っても言わなくても変わらんけど言ってみ?」



無言で頭を横に振る。





「寂しい」



だなんて

言っちゃいけないの。



困らせるだけだもん。



五嶋さんは私に会えなくて平気だった?


寂しかった?





そんな事ないよね。







一言も話さない私に



五嶋さんはずっと優しくしてくれる。








いつの間にか、



涙が溢れてきた。





泣くつもりなんか

なかったのに。





「何泣いてんの。
泣くトコじゃないだろ

ほら、
遥こっち向きな。」




「やだ、

向いたらキスされる。」





強引に正面を向かされて、
五嶋さんが私の涙を拭う。





「泣くほど会いたかったんだろ?
それで機嫌悪いんだよな。



ごめんな。

ちょっと来れなかったな。


そうだろ?」





私はうなずく代りにそれまで抵抗していた腕を緩め、

おとなしく五嶋さんに抱き締められた。






「…泣くことないのに。」


「泣いてないもん。目にゴミが入ったんだもん。」



「アホか。」





バレバレな嘘をつく。





「そんなに足りない?」




思わず本音がでそうになって少し頷いてしまったのを

あわてて否定する為に頭を横に振った。






「…カワイイな。」



五嶋さんは笑いながら

私を引き寄せてそう言った。







ホントはね。



たくさん会いたい


連絡もしたい


私の好きな人は五嶋さんなんだって言いたい





言いたいんだ。
お休みの日は時間を持て余す。



一人カフェで本を読んでいると携帯が鳴る。






五嶋さん。





「どしたの?」



「今近くにいる。

お前どこ?」



「出かけてるけど急いで帰るよ」



「じゃぁ今から行くわ。」







珍しい。





ついこの間会ったばかりなのに。








駅で五嶋さんを待つ。





数分後、



五嶋さんが来た。





「おかえり」



「お、えらいじゃん。」





くしゃっと頭を撫でられる。





家までの数メートル五嶋さんの腕にしがみついて歩く。





部屋に入るなり、服を脱ぎ捨て



五嶋さんはベッドに入る。




「あー、朝から飲んで疲れた。」



「二次会そんな早くからだったんだ?」





服を畳み終えると、

抱かれてしまう。






ちょっと複雑で。



求められるのは嬉しいのに。







こんな変な気持ち嫌だ。






二人でいつのまにか寝入ってしまった。






五嶋さんの携帯が鳴る音で起きた。







きっと奥さんから。



「……出ていいよ。」



「いいよ。

出たってどうにもならんし。」





「またね。
おやすみ。」



「イイコにしてろよ。」
『多分いく』










そんなメールが久しぶりに来た。



先日、久しぶりに電話が来た時に

「最近来ないね」

なんて話をした。






単純に寂しかった。





会いたかった。






タイミングが悪く、

休みの日に来ることが出来ずにいた。






私は私で別のオトコに会いに行っていた。





私たちは付き合っていないんだから、何をしていたっていい。







彼氏でも





ましてや、





旦那でもない。






『私飲んで帰るから出る前に連絡して』






ほどなくして



意外に早く五嶋さんは帰ってきた。





『どこだよ。
早く帰ってこい』



『いまはむり
待ってて』



『早くしろ 怒』



『急ぐけどとりあえず待って』



『飲み屋にいる。
急げよ
どうなるかわかってんだろうけど。』







またいつもの調子。





知ってる。



こんな時の五嶋さんは私に会いたいから絶対待ってる。





別のオトコからの誘いを断り、
終電に駆け乗り、
最寄り駅へと急ぐ。





そんな中、

『25時閉店

急げ』



という内容とともに





ひどい着信履歴を見る。





一画面全て五嶋さんの不在着信。





会うとそんな必死さは感じられないのに。






とにかく駅についたら静まり返った道で一人ヒールを鳴らし、Barに向かう。



息を切らし



扉を開けると背中が見えた。





「ご、五嶋さ…ん」






「お前、遅っ!!!!」



「ごめん(^人^)

でも駅から走ったし、ねドキドキ





「お前適当だなー

俺を待たせるのなんてお前くらいだぞ

どうなるかわかってんの?」



「いやまぁ…だいたい?

怖くて想像したくないー」



「わかってんじゃねぇか」





じゃれあいながら、





家に帰ると五嶋さんは乱暴に抱いた。



強引さの中に、






確かに優しさはあった。





だから余計に乱暴にされて辛かった。






乱暴なのに優しくしないで。







ねぇ、愛してもないのに

何でそんなに優しいの?








ほんとは少しでも、





私のこと








好きなの?




泣きたくなるくらい、





純粋な恋がしたいよ。










でもね、

アタシの心底好きなヒトは

キミしかいないんだ。







寝ても覚めても



目を閉じれば浮かぶ、



キミしかいないんだ。










不安だし



淋しいし、



悲しいし、



苦しいし、



切ないし、



辛いけど







それをぜんぶ越えちゃうくらい、





好きなヒトだよ。





ね。
全てを言ってしまいたくなる時がある。





そんな衝動に駆られるんだ。





昔の男や



現在(いま)の男が





付き合っている、いた、事を。





家庭なんか大切にしてるわけない。






そんなもの表面上だけ

だって。





本当に大切にしていたら、





私と一緒にはいない。









だからといって

私が大切にされているわけではないけど。