二子玉川駅までお願いします。

たしかに私はそう言ったらしい。
タクシーの運転手と楽しく雑談した。
荒井さんのおじさんは現在57歳。昔は、ブイブイいわせてたみたいだ。
大学のキャンパスを歩くと女が避けたらしい。
荒井に近づくと火傷をするとかなんとか荒井に近づくと妊娠するからだとか。
伝説の男だったんだってさ。
きっと、昔は髪の毛ふさふさだったのだろう。

荒井さんの話に大げさなリアクション対応したよ。
特技は、リアクションといっても過言ではない。

わぁすごぉ~い
わっしょ~い

それで荒井さんは気分を良くして10円おまけしてくれた。
10円かよ。

なんで駅で降りたかな自分。
アパートは、駅から歩いて15分のとこにある。
なんで川に向かって歩いてるのかな。
アパートは、川方面ではない。
なんで橋の下で寝てるのかな。
マイルームは、野外ではない。

外で寝るって気持ち良いよ。
川と緑と
犬の糞だ…
でも気持ち良かった。

なにもかも忘れられる。
私、
どこにむかってるんだろう。
こんなことしてていいわけないよね。
この先、なにしたいんだろ。
今は、こうしてバカ騒ぎして酔っぱらって現実逃避しててもまだ逃げれる。
でも、もうすぐ逃げちゃダメな気がして胸の中が締め付けられるんだ。
泣けてきた。
眠くなってきた。
酔っぱらいには、寝ちゃいけない場所なんてないのだ。

「根元くん…」

寝言か独り言か
根元くんとつぶやいた。

山根くんとつぶやくはずだったのだが
酔っぱらいの口は予想外な言葉を発する。
幻想を見た。
右の糞から上を見上げたら山根くんが手を差し伸べてるっていう幻想を見た。
酔っぱらいの頭は都合よくできてるみたいだ。

そこから記憶がない。
まったく記憶がない。
思い出せない。

オッケー。
とりあえず、水飲もう。
喉乾いた。

冷蔵庫をあけようとした瞬間、マグネットで紙がくっ付けられてることに気付いた。

真っ青になるとはこのことだ。血の気がひいた。
漫画だと頭から棒が何本も垂れ下がって白目状態みたいなそんな感じ。

あり得ない置き手紙を発見してしまったのだ。

〔マイカちゃんへ☆もう酔っぱらいすぎちゃダメだぞんっ。栄養剤冷蔵庫に入ってます。飲んでねん。ダースベーダーより☆ps.マイカちゃんにはなにも手を出してないから安心してねん。鍵は、ポストに入れておきます。〕

ダースベーダー…ダースベーダー…ダースベーダー…

まさか宇宙からいらしたダースベーダーじゃないだろう。ということは、奴しかいない。
秋葉原のダースベーダーだ。
ヤバいぞヤバいぞヤバいぞ。
ダースベーダーin二子玉川マイルームはヤバいぞ。
外で寝てた私を助けてくれてありがとう。
いやいやそうゆう問題じゃないし、それよりなによりなんで寝てた私を見つけられたのだろうか。
ストーキングしてたのかな?ダースベーダー。


いやいや、まさか。
アヤのイタズラ?
またアヤに電話して事情を話した。

「怖っ!ちょー怖っ!」

と大爆笑なアヤ。
笑えねぇよ。
アヤのイタズラじゃないってことは、本当にダースベーダーか。
チョメチョメされてたらどうしよう。
ゾッ。

恐怖のあまり今日はアヤの家に泊まりに行くことにした。
明日は、チカエんち泊まろう。明後日は、チカエをマイルームに連れて帰ろう。スーツケースに洋服を詰めこんで明るい大通りを歩き駅に向かった。

ん?後ろを誰かにつけられてる気がするのは、気のせい?

振り替えると電柱に隠れてるつもりの黒い影。




ダースベーダーだ!

空いた口がふさがらなかった。
漫画だと顎がはずれてコンクリートにくっついちゃってる感じ。

ダースベーダーだ!
これは、まずいんじゃないか?
気付かなかったふりして早歩きしよう。
ダースベーダーも早歩きであとを付けてきた。

あ、これリアルに怖い。
逃げろ!
私は、無我夢中で走った。ダースベーダーも無我夢中で追い掛けてくる。

あと10mも走れば交番がある。よし、そこまで走るぞ。

私は、無我夢中で走り交番に逃げ込んだ。
ダースベーダーも無我夢中で交番に走り込んできた。

まーぢーでー。
アホかー。

「この人、ストーカーです!」

その場で御用となったダースベーダー。

コントじゃないんだから。この話しをするとネタだと思われるが、本当の話しだ。しかも、いつも仮面を被ってるから顔見たことなかったけど初めて顔を拝見させていただきました。
ダースベーダーというよりヨーダだろ。
優しい顔をしていた。
優しい人なんだと思う。
ただ、人より愛する表現の仕方が下手なだけなのかもね。

にしてもアヤはこの話しに大爆笑が止まらない。
私の命の心配はしないのかね。
アヤの部屋についてからずっとダースベーダーの話で持ちきりだ。

「でもさ、本当にあんたが無事で良かった~。しばらく飲み過ぎはやめよ~お互い。」

おっと。命の心配してくれた。久しぶりに嬉しいことを言ってくれた。
そうゆうコメントを期待してたよ。照れるな。
でもさ、私たちのことだから飲み過ぎて反省してもまた飲み過ぎちゃうよね。
ダメな女たちだ。

シングルベット。
背中合わせで仲良く眠りについた。
アヤの部屋は、枕が最新型低反発枕でぐっすり眠れる。

ぐっすり寝すぎて昼過ぎに起きた。
アヤは、アパレルのバイトにでかけたらしい。机の上に置き手紙があった。

〔マイカちゃんへ☆仕事いってくるね!鍵は、ポストに入れといて!ダースベーダーより(笑)ps.冷蔵庫の中にカップラーメンあるから食べていーよー☆〕


ユーモアたっぷりな置き手紙をありがとう。
ちなみに、カップラーメンは、冷蔵庫に入れなくても大丈夫だよ。






《続くかもしれない》


コメディだから、細かいことは気にしないでください。(´`)