こんにちは。


昨日点字毎日の、趣味いろいろというコラムで、生徒さんの丸谷賢司さんが掲載されましたニコニコ


私のレッスンにも取材にお越し頂き、写真も載せて頂きました。



全文記載いたしますニコニコ

   「趣味いろいろ」
  - バイオリン -
 大阪市内のビルにあるレッスン室にバイオリンの音色が響く。モンティの「チャルダッシュ」だ。演奏しているのは、盲学校教諭で全盲の丸谷賢司(まるたに・けんじ)さん(58)。そばで指導するバイオリニストの納庄麻里子(のうしょう・まりこ)さん(45)が「良くなりましたね」と声をかけると、丸谷さんは「結構練習してきました」とうれしそう。月2回のレッスンは6年余りになる。丸谷さんは「作曲者に思いをはせながら演奏してるんです」と楽しそうに話す。
 丸谷さんが、バイオリンを始めたのは、盲学校の小学部2年生の時。その頃は、左目の視力が0・04あった。最初、姉と通っていたのは、エレクトーン教室。だが、音楽の授業で聞いたバイオリンの音色に魅了された。
 教えてくれる先生が近所で見つかったが、初レッスンの数日前に頭をぶつけ眼病が急激に悪化し、ほとんど見えなくなった。それでも、バイオリンへの熱は冷めず、家族の付き添いでレッスンに毎週通った。高校生の頃、先生が故郷に帰ることになった。別の先生を紹介されたたが、粗利があわず、20歳の頃、通うのをやめた。
 バイオリンを再び習ってみようと思ったのは、30年ほどたってから。勤務する盲学校の生徒のためにプロの演奏家が指導に来てくれるようになったから。「もう一度レッスンを受けて新しい曲にチャレンジしたい」。
 元声楽家の卒業生にバイオリンの先生を探してもらうことにした。その話は、「点字毎日」で連載を執筆中のバイオリニストで全盲の和波たかよしさんのところに。そうして、和波さんの弟子に当たる納庄さんを紹介された。
 初めて会った納庄さんから「何か聞かせてほしい」と言われ、マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲を弾いた。納庄さんは、横でただ聞くのではなく、いろいろな角度から自分の指使いや姿勢を見ているのが分かった。「この先生なら熱心に教えてくれる」。新たな師匠との出会いを確信した。
 自宅では、出勤前にバイオリンに音量を抑える練習用消音機を取り付けて稽古に励む。納庄さんがあらかじめ録音してくれた音源が頼りだ。細部は点字楽譜で確かめる。分からないことがあれば、あいまいにせず、レッスンの時に聞く。区民センターでの初の発表会では、以前から弾きたかったエルガーの「愛のあいさつ」を選んだ。アンサンブルも経験し、仲間と一つになる演奏のとりこになった。
 バイオリンを習うのは、あん摩を教わるのと似ていると感じる。言葉に加えて、手を添えてもらいながら、どれくらいの力を入れるか、どんな姿勢を保つかを身に付けていくからだ。
 バイオリンの音色は、性格が表れるという。納庄さんは、丸谷さんの音色を「前向きで明るく力強い」と評する。
 昨年末の発表会では、同僚の男性教諭のピアノ伴奏でクリスマスソングをジャズ風にアレンジして披露。丸谷さんに出来栄えを聞くと「できすぎの120点ぐらいかな。ミスは多かったが、ありえない曲展開で遊び感がみんなに伝わったのでは」と笑う。
 次の目標を「難易度が高く軽く弾かないといけないベートーベンの『スプリング』に挑戦したい」と教えてくれた。【佐木理人】
 (プロフィル)大阪市内で強度弱視の妻と高校生の娘と暮らす。調律師の視覚を持ち、レッスン室のピアノの調整を担う。料理好きで得意なのは、卵春巻き。