【CAに驚き・・・張り付いた笑みの裏で、あなたは何を思うのか】
先日、仕事で松山に行く機会があって、早めに飛行機に乗り、いそいそと原稿を書こうとしました。
飛行機のドアが閉まり、動きだすまではパソコンは大丈夫だと思っていたら、キャビンアテンダントの人が微笑みながら、パソコンを切って欲しいと言いました。
海外のエアラインでは、ドアが閉まって飛行機が動きだすまで、パソコンどころか携帯電話で話す人も普通にいます。
で、「えっ? パソコンもダメなんですか?」と驚いていると、さらに満面の笑みで「ご協力、ありがとうございます」とキャビンアテンダントさんは、言い放ちました。
この連載が始まってもう十五年ぐらいですが、この間に、猛烈な勢いで日本人は、「マニュアルの言葉」を話すことが平気になっています。
まったくコミュニケイションすることなく、驚くほど心を閉じて、ロボットになって、誰がみても「お前はサイボーグか!」と突っ込める言葉を、
しかし、堂々と満面の笑みで、何の疑問も抵抗も躊躇いもなく話すようになっています。
もちろん、それは、一人一人とちゃんとコミュニケイションすることがしんどいからです。
そんな面倒くさいことをするぐらいなら、満面の笑みのまま、「いらっしゃいませ、こんにちは」とか「ごゆっりくどうぞ」とか「美味しく召し上がれますように」とか、ロボットになって言い放った方が楽だとみんな分かっているのです。
願わくば、それがロボットの言葉になっていて、相手をむかつかせることはあっても、決して届いてもないし丁寧な言葉でもないんだと分かっていて欲しいと思います。
もし、その言い方が正しくて親切な表現だとか思っているのなら、この国のコミュニケイションは絶望的です。
【相手の人格を一切無視する“満面の笑み”】
満面の笑みのキャビンアテンダントさんに反論する気力も起こらず、黙ってパソコンの電源を落としました。もちろん、どうも釈然としないと思いながら。
で、こんな記事を見つけました。「国土交通省は1月25日、航空機に乗っている間の使用を乗客に禁じている携帯電話について、出発前や到着後の乗降口が開いている間は使えるよう、航空法に基づく告示を改正する方針を決めた。4月から施行する。
国交省によると、独立行政法人『電子航法研究所』に委託した調査で、搭乗口で停止している間は、携帯電話などの電波が航空機の計器に影響を及ぼす可能性はほぼないとの結果が得られた。
このため、搭乗後、すべての乗降口が閉じるまでの間と、乗降口が開かれたときから機体を降りるまでの間について、使用を認めることにした」
この記事を読んで、まず思ったのは、「こんなことまで、法律で決まっとんのかい!」ということです。
で、二つ目は、「こういうことを決める役人は、国外出張の時に、日本の航空会社しか使わんのかい!」ということでした。僕のロンドン公演をサポートしてくれたバージン・エアでは、出発前も、到着してすぐも、携帯の通話はオッケーでした。
で、三つ目に思ったのは、「法律で決まってるなら法律って言えよ!」ということです。計器に影響を与えるという言い方をしますが、海外のエアラインでは許可しているわけですから、すぐにおかしいと分かるわけです。
日本人がタフな民族だったら、間違いなく「いや、この前乗ったエアラインは許可していた。会社によって、計器の影響は違うのか?」と詰め寄るはずです。
でも、日本人はロボットの微笑みに黙ってしまうのです。
僕が日本人として一番苛立つのは、「ずっと相手を子供扱いしながら、いつまでも本当に子供なんだからと嘆く」という日本的なシステムです。
満面の笑みのまま、「ご協力に感謝します」と言い放つのは、相手の人格を認めないからです。相手を一個の独立した人格ではなく、つまりは子供扱いしているのです。
例えば、日本の団体旅行は空港の集合時間を恐ろしく早く言います。二時間前なんて普通です。
相手を子供だと思っているのです。時間は守らないし、平気で遅刻すると決めているのです。そういう時間を設定しながら、本当に子供なんだからと嘆くのです。
こんにちは。
むぎです。
ロボットの微笑み・・・ちょっと怖いですね。
自然の笑みで話せる世界であってほしいですね。
のほほんです。