前編はこちら  



キャスター:それでは、次のニュースに参ります。


2007年8月24日、愛知県名古屋市で3人の男による強盗殺人・死体遺棄事件が発生しました。


現場の羽川記者と中継がつながっています。名古屋市の羽川さん。



リポーター2:はい、こちら名古屋の羽川です。



キャスター:羽田さん、事件の詳細を伝えて下さい。



リポーター2:はい。加害者たちは「闇サイト」で知り合い、彼らと全く無関係な女性を拉致し殺害しました。被害者の両手には手錠がかけられ、顔面はガムテープなどで巻かれていました。遺体は、下半身に土をかけて放置するだけという杜撰な方法で遺棄されていました。


合理的判断を欠いた短絡的な犯行です。また、誰でもいいから結局は殺害しようと考えていたのならば、実に冷酷で計画的な犯罪であり、いずれにせよ途方もなく無分別な犯行であったことは明らかです。


こうした犯罪が少年によって実行されることは今までも何度かありましたが、今回の場合は32歳、36歳、40歳という、社会的に分別があるだろうと思われる人々の犯行です。しかも容疑者らは暴力団に所属していたわけではなく、特別な前科があるわけでもありませんでした。


今回の事件では、いわゆる「闇サイト」によって影響を受け、交流・接触し、共同で犯行に至った点が、極めて現代的です。このことに関して、専門家の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。



キャスター:はい、羽田さん分かりました。わざわざアドバイスいただき、ありがとうございます。


それでは、安井さんに伺います。そもそも闇サイトとはどのようなものでしょうか。



コメンテーター2:闇サイトとは、違法行為の勧誘を目的とするウェブサイトを指します。


これまでも、反社会的な犯罪をそそのかすサイトが存在し、それに触発されて重大な犯罪が起こる危険性が指摘されていました。インターネットの書き込みや討論は、自分の身分を明らかにすることがなく自由に行えます。そのため、抑制力が働かず、通常は異常とされる犯罪や暴力、殺人などを肯定するサイトに浸り切ることにより、善悪の価値観が倒錯し、凶悪な犯罪を実行することがむしろ賞賛されるべきであるという観念すら発生するのです。



キャスター:先程のリポートにもあったように、これまで闇サイトが絡む事件の多くは少年犯罪において認められていました。しかし、今回の事件は成人によって引き起こされました。このことは何を意味しているのでしょうか。



コメンテーター2:成人の場合にも同様のことが起こりうると証明されたわけです。これは、攻撃性が減少すると考えられていた30代以降の人々でも、未熟なまま大人になり、その幼児性が固定されていることを意味します。



キャスター:今回の事件は、実に残酷な犯行です。横峰さん、どのような要因があると考えられますか。



コメンテーター1:犯行がより凶悪な方向にエスカレートする要因として、犯罪者特有の集団心理が挙げられます。彼らは、自分が気弱であると仲間に思われたくないのです。裏切るのではないかと仲間から疑われたくないためであり、場合によっては自らが殺害されることを防ぐためです。



キャスター:死体遺棄の方法や遺体の状態からは、どのようなことが窺えますか。



コメンテーター1:犯人たちの心理を窺うことができます。下半身に土をかけて放置するだけの粗末な方法である一方、被害者の両手には手錠がかけられ、顔面はガムテープなどで巻かれていました。このことは犯人たちの精神的な弱さを示していると思います。一般に、加害者が被害者の蘇生を恐れてその遺体をバラバラに解体することには、弱者の心理が存在すると考えられています。



キャスター:安井さん、その他に、犯人たちに関してどのようなことが考えられますか。



コメンテーター2:当然ながら満足できる金が手に入らなかった彼らは、その失敗から新たな犯行を断念することなく、別の被害者を求めようとしていました。ここには彼らがすでに凶悪犯罪者としての常習性を身につけていたことが窺えます。これには、犯罪者としての集団心理のみならず、彼らが以前から反社会的な傾向を持っていたことを示しています。そもそも健康で常識のある人間が闇サイトなどに接近すること自体あり得ないですよね。



キャスター:そう思います。横峯さん、いかがでしょうか。



コメンテーター1:確かにこの事件の犯人たちは、社会に対して激しく反発していたと思われます。

しかしながら、一般的に犯罪者が社会に全く適応できないということはありません。むしろ逆で、犯罪者は社会的な適応性を用いて、犯罪仲間との関係を維持したり、被害者をコントロールしたりします。そういった意味で、犯罪者は十分に「社会化」されているのです。



キャスター:今言われた「社会化」とは、どのようなことでしょうか。



コメンテーター1:「社会化」とは、社会の中で承認され、社会を支配している規範を学び、自分自身の内部基準として取り入れ、それを通して人格を成長・発達させる過程のことです。この過程の範囲で、犯罪が発生し、深化していきます。社会化に際しては、人は社会の規範を社会全体からではなく、実際に接触する人々(エージェント)を通して学んでいきます。今回の場合、エージェントが闇サイトだったわけです。



キャスター:なるほど。違法行為の勧誘を目的とする闇サイトから規範を学べば、一般基準から見て異常な犯罪につながることは明らかですね。



コメンテーター1:確かにそうです。しかし、私たちは真理を求め価値を創造する知恵を身につけて、賢く生きる必要があります。たとえ闇サイトのような悪に接触したとしても、勇気を持って拒絶しなければなりません。



キャスター:本当にその通りだと思います。貴重なご意見ありがとうございました。


今日私たちは、情報に振り回され犯罪に走る人々の心から、現代社会の闇を見出しました。こんなときだからこそ、何ものにも揺らぐことのない確かな自分を作り上げるべきだと痛感します。


コメンテーターの安井さん、横峯さん、どうもありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。



コメンテーター2:はい、もちろんです。でも本当は、私たちが出演しないで済む世の中が一番ですよね。



キャスター:その通りですね。


それではこの辺でニュースを終わります。失礼します。