研究テーマ:凶悪犯罪
発表形式:自由→なので、報道番組みたいに演出した。
キャスター:こんにちは。ニュースの時間です。キャスターの原口琢郎です。今日も世の中の異常な犯罪を取り上げ、なぜ起きるのかを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
コメンテーターのお2人をご紹介します。帝都大学名誉教授で犯罪心理にくわしい横峰弘信さんと元警視庁捜査一課長の安井信昭さんです。よろしくお願いします。
それでは、早速ニュースをお伝えします。2007年4月16日、アメリカバージニア工科大学で銃乱射事件が発生しました。これにより、学生28名、教員5名の、合わせて33名が死亡しました。
現場にいる村田記者と中継がつながっています。アメリカの村田さん。
リポーター1:はい、こちらアメリカの村田です。
キャスター:そちらから事件の詳細を伝えて下さい。
リポーター1:はい。現場に居合わせた学生のなかには、死んだふりをしたために九死に一生を得た人や、部屋にバリケードを築いて容疑者が入れないようにして難を逃れた人たちもいました。
アメリカで起きた乱射事件の中でも、1991年に22人の死者を出したジョージ・ヘナード事件、1984年に21人の死者を出したジェイムズ・ヒューバティ事件、1966年に6人の死者を出したテキサスタワー乱射事件などを上回る過去最悪の事件となりました。
犯人の身元の詳細についてバージニア工科大学は17日記者会見し、容疑者が同大学4年に在籍していた当時23歳の在米韓国人男子学生であったと発表しました。
容疑者は、8歳の時に一家で韓国ソウルからアメリカに移住し、姉と両親の4人家族であり、アメリカ永住権(グリーンカード)を所有していることなどが、これまでに判明しています。また、所持していた拳銃は、自分の身分証を使って購入した7万円相当の拳銃で、バッグから領収書が発見されました。
バージニア工科大学には日本人の留学生も在籍していましたが、怪我はなかったということです。
キャスター:村田さん、アメリカでは銃を用いた未成年者による犯罪が急速に増加しているのでしょうか。
リポーター1:はい、そのようです。今回の事件を初め、1999年に発生したコロンバイン高校銃乱射事件、1966年のテキサスタワー乱射事件を合わせて、アメリカ三大学校銃乱射事件と称されることがありますが、その犯人はいずれも大学生または大学院生で、コロンバイン高校の事件に関しては、未成年である高校生というかなり若い人の犯行でした。また、これらのことを受けて登校時に銃を持ち込めないように金属探知機を設置するような学校も出てきています。
キャスター:村田さん、ありがとうございました。
多数の死傷者を生み出す惨劇が、未成年者によって引き起こされるという実に痛ましい事件です。
それでは、横峰さん、なぜこのような銃での異常な犯行が若者の間で急速に増加しているのでしょうか。
コメンテーター1:それを考えるにはまず、アメリカの銃の現状を知っていただきたいと思います。
今やアメリカでの銃登録数は司法省が把握している限りでも2億2千2百万丁です。しかも驚くべきことに、それがすべて民間人なんですよ。もちろん密輸や闇ルートで入手された銃は含まれないので、実際はもっと多いでしょう。公式統計だけで、1丁以上の銃を所有している家庭が全体の3分の2を越していて、10人中9人が銃を持っているとも言われています。製造業者は約1000社、製造台数は一日9000丁。国内生産だけでは追いつかないので、毎日10,000丁の銃が海外から輸入されています。銃による死者は年間3万人。銃による犯罪は年間60万件にもおよびます。
キャスター:凄い数ですね。これだけ銃であふれているアメリカでは、若者の犯行が増えて当然です。
コメンテーター1:確かに銃そのものが存在しなければ銃犯罪は起こりません。しかし、未成年者による銃犯罪が多発している要因としては、銃そのものの氾濫だけでなく様々な要因が考えられます。
キャスター:どのような要因でしょうか。
コメンテーター1:今は暴力的な仮想現実の世界を誰でも体験できる時代です。先日発表された飯山教授の論文に対抗するわけではありませんが、その世界に没頭するあまり、現実の世界と仮想現実の世界との区別がつかなくなってしまうような若者が少なくないことも事実です。さらにそのようなTVや映画、ゲームの中からヒントを得て犯行を思い立つような若者も実際にいます。コロラド州コロンバイン高校においての銃乱射事件を起こした高校生の少年も、あるハリウッド映画の中のシーンを見て犯行を思い立ったそうです。
キャスター:なるほど。安井さんは、どう思われますか。
コメンテーター2:あるいは、飯山教授が指摘なさったように、相次ぐ少年による銃犯罪を報道するマスメディアの報道方法が問題なのかもしれません。コロンバイン高校で発生した銃乱射事件を皮切りに、アメリカにおいて銃乱射事件が急速に増加しているという事実もあります。映像と解説を垂れ流し、細かいことをほじくり続けて報道することは、世の中の注目を集めたい若者にその方法を教えるようなものです。そしてそういった若者が、自分もニュース番組をにぎわせてやろうという軽い気持ちで犯行にいたることになると思います。
キャスター:それでは、横峰さん、どのような解決方法があるのでしょうか。
コメンテーター1:規制については、アメリカは銃の規制に関する法律を作ってきました。それでも今回の事件のようなことが実際に起こってしまったのです。さらに今回の事件を受け、アメリカの一部の市民の中からは、銃規制に反対する声が強まりました。学生たちが銃を持っていれば、あれほどの被害者を出さなくてすんだというのが彼らの主張です。彼らは、銃の所有は建国以来、憲法で保障されていると強調しています。
確かに、地域の警備体制が十分でない開拓時代なら、銃に頼りたいという国民の心情は理解できます。しかし、憲法の条文は次の通りです。
「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」
このことから、「民兵の権利」を「個人の権利」と拡大解釈してきた経緯が読み取れます。
キャスター:安井さんはいかがでしょうか。
コメンテーター2:マスメディアに対する報道規制が必要だと思います。先程も言ったように、マスメディアによる過剰報道が、未成年者を次々と同じような事件を起こすように駆り立てていると考えられます。実際、ジョージア州のヘレテ-ジ高校で発生した銃乱射事件は、コロラド州のコロンバイン高校で起こった事件を知った少年が、自分も注目を浴びたいと思い、起こした事件だそうです。このような現象は、「コピーキャットシューティング」と呼ばれ、国民の多くも、未成年者による銃犯罪が発生する原因はマスメディアの過剰報道にあるとして、マスメディアに対して責任を追求しています。
キャスター:お二人のお話を伺って、アメリカにおける未成年者による銃犯罪の問題に関しては、いまだ難しい点が多くあることが分かりました。銃規制は、多くの銃器が国のいたるところに氾濫しているアメリカにとって必要なことだと思います。
コメンテーター2:その通りです。今までの銃規制法がうまく機能していれば、銃などは未成年者の手に渡るはずがないものです。このような銃器が罪を犯した未成年者の手に合法的に渡ってはいないとしても、それだけ銃が若者の手に入りやすい状況がアメリカにおいては確立されているのです。
しかし現状を全てふまえると、やはり、銃規制だけでは未成年者による銃犯罪の増加を押し止めるのは少し無理があると言えます。それ以上に大切なことは、他人を思いやることだと思います。他人の不幸を自分の不幸のように感じられる人こそ今の社会、特に世界を引っ張っているアメリカの社会に必要なことなのです。
キャスター:本当にそう思います。自由な国であるからこそ、意識の根本的な部分を変えていかなければなりません。
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