あれは本当に現実だったのか。今でも信じられない。ただ、たしかに記憶は存在する。
明け方の出来事だった。徹夜は得意でない。気持ち的に受け付けない。夜は寝るものだ。遅くまで起きていると罪悪感を感じる。もちろん、やるべきことが終わらなければ徹夜もあり得る。でも、だいたい3時頃には終えて眠りにつく。完全徹夜っぽい経験は、過去に2回。
1回目は大学1年のとき。寮の仲間とレンタカーで山梨の温泉に行った。露天風呂からの日の出が名物なので、深夜に出発した。車内がうるさかったためか、特殊な環境だったためか、一睡もできなかった気がする。いや、下道を通ったから、道がクネクネしていて、安心できなかったためだ。帰りは高速道路。静かな車内で爆睡した。さらに、寮に帰ってから朝飯を食べ、ベッドで熟睡。その日は夕方頃起きたかな。
2回目はついこないだ、教育実習の時。最終日の前夜、クラスの生徒一人ひとりへの手紙など、やることがいっぱいあって徹夜した。一睡もしないのは脳に悪そうだと思い、15分だけ仮眠。一応、完全徹夜ではないと思っている。さすがに日中眠くなった。実習生のくせに情けないが、空き時間には仮眠した。
最近は、起床時刻が遅いため、就寝時刻も遅い。2時を過ぎる。だから、体は徹夜に慣れている。若さもあるだろう。あとは気持ちの問題である。徹夜しても構わないと思えば、徹夜することは可能だ。
その日、徹夜しても構わないと思った。そう思ったのは、2時を過ぎた頃か。おもしろい動画をたくさん見て、楽しい時間を過ごしていた。それはそれで、もちろんよかった。だが、俺の目的は違っていた。あの特殊な状況を無駄にするわけにはいかなかった。そもそも、可能性を十分に感じていたのだ。
ふとした思いつきだった。前日の深夜、つまり0時をまわって少し経ったくらいのときに、何気なくfacebookをチェックした。アメブロやfacebookをチェックすることは最近の習慣だ。ただ、ネットに依存してる気がして、なんとなく後ろめたさがある。もっと他の趣味に没頭すればいいのにと思う。それでも、とりあえずfacebookとかを開いてしまう。そこで有力な情報を得た。そのときはまだ、この情報を活用することは思いつかなかった。活用可能ではないかと思ったのは、当日の午後である。そして、シルシルミシルのスペシャルを見終わる頃、ダメもとで実行した。
やはりダメだった。だが、なにかを感じた。めげずに再チャレンジ。それでもダメだった。だが、やはりなにかを感じた。しかも、さっきよりも強いものを感じた。だから、あきらめなかった。成長したな、と思った。前までの俺ならば、ここであきらめていただろう。だから今まではダメだったのだと学習していた。そこで今回は強気で進んでいった。すると、道が開けた。こんなことは今までなかった。俺のテンションは急上昇した。
その段階で、目的の90%を達成したようなものだった。俺の歴史の中では、極めてレアな状況である。あとはどうにでもなると思っていた。そして、それは現実のものとなった。
一通り動画を見終えた、3時頃だろうか。俺は大胆になった。なぜならば、目的の90%を達成した段階で、十分な可能性を感じていたからだ。俺の推測は間違っていなかった。
その後は、あっという間に時間が流れた。いつの間にか、窓の外が明るくなっていた。日が昇った後にも、信じられないような経験が続いた。今までスクリーンの中でしか見たことのなかった光景が、目の前で繰り広げられた。想像以上に素晴らしいものだった。
そして、もうしばらく幸せな時間を過ごした後、終了。ワンタンスープを食べて、眠りについた。