人という生物の文化的行動はその存在が発現した時より様々なものを創造していった。
それらのいくらかは生活をより豊かにするものであるが、その反面外面的、物質的には役に立たないと思われがちな分野も存在する。
いわゆる幻想や空想。
ならば何故人はそのような無為な活動を行ったのか?
今も人は自らが生み出したものを研究し、何かを見出そうとしている。
自分と同じ「人間」が墨で、インクで、紙の上に線を描き、伝えようとした何か、そういった活動は本当に無為なものだったのだろうか…
ファーストコンタクト
第一接触「悪魔アレイシア」
永住瑛太
まったくもって今日は厄日だった。
といっても平凡極まりない俺が厄日なんて「異常」な事態に巻き込まれるのはたいていあの女がらみぐらいなもんだからほとんど説明はいらない。
あの超オカルトオタクと言えば巷どころか全国のオカルト掲示板で有名な「無節操なオカルトオタク」なのだから、あんな奴の幼馴染である俺が無事でいられるわけない。
今朝だって突然インターホンを30回ほど連打した挙句に寝ぼけ眼で玄関から顔を出した俺を確認したにもかかわらず、おまけといった様子で五連打しやがった。
おまけに向き合うなり「こら、瑛太!うら若き青年がこんな天気のいい日曜日に何してる!?暇だったらあたしの手伝いをしなさい!」
などとのたまい、朝飯もいい加減に俺を図書館へと連行していった。
ちなみに母親は、見慣れた様子でにこにこと「おはよう、七羽ちゃん」とか言いながら飴玉をあげていた。
裏切り者。
天気がどうのこうの言っていたくせにやってきた図書館では分厚い書名の並べられたリストを俺に押し付け、一言「これ、全部集めてきて」。
そのどれもこれもが「悪魔」についてだった。
楠 七羽、それがこの恐ろしき行動力とマニアック度を所持する少女の名前だ。
これまで何度もツチノコ狩りやらフェアリーサークル探しなどと駆り出されている。
ラインナップを見る限りわかるだろうがこの女は「無節操」だ。
UFOと同じくらい妖精を信じていてフェニックスと同じくらい妖怪を信じている、彼女曰く「全部信じていたらひとつくらいはいるはず!」とのこと。
今回は悪魔ネタにハマったようで、このだいぶ日の陰った夕方にやっと解放されたのだった。
そんなもんで、疲労も頂点に達していた。
だからあそこで不注意になっていたのも仕方がなかったと思う。
ここ夢番町は、つい最近都市化が決まりあちこちでオフィスビルの建設が進められていた、山のふもとということもあり今まで閑散としてきたこの場所にたくさんのトラックやショベルカーが持ち込まれ、来月にはショッピングモールが完成する。
見る物も少なかったこの町は徐々に改造され、こんな風に真っ赤な夕日に照らされるとクレーンの影がまるで怪物のように長く伸びる。
この赤い世界ではあちこちに暗い影溜りが生まれ、夜中なんかよりよっぽど危ない。
そして、その陰に潜むように、ひそかにソレは俺の命を奪うため
急降下した。
突然唐突、脈絡も何もなく。
死が俺に襲い掛かったんだ。