長いことアイドルヲタクをやっていれば、日本武道館にアイドルを観に行った数もそれなりの回数を重ねている。
そんな中、過去のどのアイドルと比較してもアプガの日本武道館公演は無謀だったように思う。
それは以下の理由に起因する。
5年以上に及ぶ活動歴の中でヒット曲は皆無。
CMやドラマのタイアップに曲が使用されたことも当然ない。
さらに言えば、地上波の歌番組に出演したこともなければ、雑誌の表紙になったこともほとんどないので知名度はゼロに等しい。
過去、最大限に話題になったことといえば、みーこが沖縄の砂浜でサンゴ礁を拾って持ち帰ったことが問題になり、それがYahoo!のトップニュースに載ったことくらいだろうかw
動員の頼みの綱ともいえるハロヲタの援軍も、前日のjuice=juiceに取られ、まさに絶対絶命の窮地で迎えたアプガの武道館公演。
会場に到着し、武道館の正面入り口に設置された「日本武道館超決戦vol.1」と書かれた巨大な看板の前で立ち止まり思わず感慨にふける。
ビートルズが初めて日本武道館をコンサート会場に使用してからちょうど半世紀。
ボウイの氷室京介が「ライブハウス武道館へようこそ!」と叫んでから30年。
日本武道館のステージに、もう間もなくするとアプガのメンバーが立つ。
入場後、アリーナ席から場内を見渡すと、満員にはほど遠い集客とはいえ、自分が予想していたよりも、ずっと客が入っていたので少しホッとした。
そして一体どこからこんなに集まってきたのだろうかと思えるような、おびただしい数の(仮)Tシャツを着た人達。
今夜、この場所に集まった(仮)Tシャツを着たヲタク達を見ていると、彼ら(彼女ら)はとても強い意志を持って武道館に来ているように思えた。
どんなアイドルのコンサートよりも、アプガのライブは観客のヲタTの着用率が高いが、そこには何か特別な意味というか無言のメッセージを発しているように自分は感じてしまう。
いつものライブと同じように「Born Slippy」のSEが場内を包み、アプガの武道館が始まった。
ライブの冒頭、三味線の生演奏に合わせて空手着を着た佐保ちゃんが登場し、いきなり氷柱割りが行われる。
この日、初めてアプガを観た人達にとっては、まったくもって意味不明な光景に映っただろうが「イヤー」の掛け声とともに見事、氷は真っ二つに割れ、ライブがスタートする。
着物風の帯がついた新しい衣装に身を包んだアプガのメンバー達。
「 Pump Up!!」
ステージ上にスクリーンがないため、自分の席からではメンバーの表情をうかがい知ることが出来ない。しかし紛れもなく彼女達がいま武道館のステージに立っているのだということを実感し胸が熱くなる。
オレのように胸を張ってアプガの専ヲタとはいえないような半端者でさえジーンときたのだから、エッグ時代から推していたような古参の人達は、この時点で号泣していたかもしれない。
エッグといえば最初のMCのとき、佐保ちゃんが「今日はハロプロエッグ時代に一緒に頑張ってきた仲間たちもたくさん応援に駆けつけてくれています」と、関係者席に手を振っていたのが印象的だった。あとあと判明するのだが、この日の関係者席には現ハロプロメンバーを含む、ハロプロエッグ出身者が大集合していた。(中でもいちばん驚いたのは、前日に武道館公演を行ったばかりのJ=Jの佳林ちゃんがきていたことだ。本来ならば前日の余韻に浸りながら家でゆっくりしていたいだろうに、わざわざ先輩達のハレの姿を観に来てくれるとはなんて良い子なんだろう)
今回の武道館公演はアプガにとっては、ひとつの到達点といえるものだったが、全体の印象はこれまでの彼女達のライブとは少し異なっていた。
まずこれまでのどのライブよりも演出が凝っていた。
派手なレーザー光線。着ぐるみを着たゆるキャラ。ピアノとバイオリンの奏者。小林幸子から借りてきたステージ印象。全身に電球がびっしりとついたボディスーツ。本物のお神輿。巨大なミラーボール。
これまでの彼女達のステージで使われた小道具といえば水鉄砲くらいしかなかったわけで、まさに武道館ならではの大盤振る舞いといったところだが、もっともクラウドファンディングで支援者から金を募った以上は最低でもこのぐらいはやらないと納得しないだろう。
また以前までのアプガのコンサートだと押したり引いたりといった構成がほとんどなく、最初から最後までひたすら体力だけで押しまくるというワンパターンなものが多かったが、今回のライブではピアノの伴奏による「beautiful dreamer」が歌われたり、メンバーのソロコーナーが設けられたりと、今までにないような工夫が施されていた。
しかし、こうした迎合的な演出はひとつもアプガらしくなく、もっといえばアプガのヲタは誰一人として、彼女達のコンサートにピアノの伴奏によるバラードなんか求めていないと思う。
もちろんいつものアプガらしいパフォーマンスもコンサートの要所要所に織り込まれていて、中でも圧巻だったのは中盤に披露されたEDMメドレーだった。
最近のアプガのコンサートはノンストップのメドレーが見せ場になっているが、今回は「パーリーピーポーエイリアン」がメドレーに組み込まれたことにより、EDM的強度が急激に増したような印象を受ける。
アプガヲタの間では、どういうわけかこの曲の評価が低いようだが、個人的にはアプガの全レパートリーの中でも最上位に位置する1曲だという思いが強い。
アンコールの1曲目に歌われたデビュー曲「Going my ⬆」がエモかった。
「一緒に夢語っていた子がミニスカートで輝いている。頭でわかってるんだけど悔しくて涙出た」
なんというゴッドアングルだろう。一緒に夢語っていた子が、今夜、武道館のスタンド席から彼女達に声援を送っているのだ。
そしておそらくなにか重大な発表があるだろうなと覚悟はしていたが、予想通りマイクを手にしたみーこ。
「私、仙石みなみも25歳になり、今ここで決めたことがあります」
「きたか…」誰もがそう思っただろう。
しかし彼女が発した言葉は、良い意味で予想に反したものだった。
【アップアップガールズ(2)募集】(かっこにきと読むらしい)
場内の盛り上がりは告知された内容に沸いたわけではなく、みーこがこれからもアップアップガールズ(仮)のメンバーでいてくれることに対する安堵感だろう。
何にしてもこれでアプガの武道館はハッピーエンドで終われる。
そしてアンコール最後の曲は「サマービーム」。
会場内のすべての照明が点灯し、場内は昼のように明るい。スタッフが手動で押すトロッコに乗ってアリーナを練り歩くメンバー。
日本武道館というハコが彼女達に似合っていたかと言われればそんなことはなかったし、興行的にみても決して成功したとはいえなかっただろう。
しかしトロッコの上から観客席に手を振るメンバーの笑顔を観たとき、本当にこの公演が実現してよかったと思った。
いつの日にか、あと六千人を集め、この会場をフルハウスにすることを夢ながら、これからも応援し続けようとオレは誓った。
そんな中、過去のどのアイドルと比較してもアプガの日本武道館公演は無謀だったように思う。
それは以下の理由に起因する。
5年以上に及ぶ活動歴の中でヒット曲は皆無。
CMやドラマのタイアップに曲が使用されたことも当然ない。
さらに言えば、地上波の歌番組に出演したこともなければ、雑誌の表紙になったこともほとんどないので知名度はゼロに等しい。
過去、最大限に話題になったことといえば、みーこが沖縄の砂浜でサンゴ礁を拾って持ち帰ったことが問題になり、それがYahoo!のトップニュースに載ったことくらいだろうかw
動員の頼みの綱ともいえるハロヲタの援軍も、前日のjuice=juiceに取られ、まさに絶対絶命の窮地で迎えたアプガの武道館公演。
会場に到着し、武道館の正面入り口に設置された「日本武道館超決戦vol.1」と書かれた巨大な看板の前で立ち止まり思わず感慨にふける。
ビートルズが初めて日本武道館をコンサート会場に使用してからちょうど半世紀。
ボウイの氷室京介が「ライブハウス武道館へようこそ!」と叫んでから30年。
日本武道館のステージに、もう間もなくするとアプガのメンバーが立つ。
入場後、アリーナ席から場内を見渡すと、満員にはほど遠い集客とはいえ、自分が予想していたよりも、ずっと客が入っていたので少しホッとした。
そして一体どこからこんなに集まってきたのだろうかと思えるような、おびただしい数の(仮)Tシャツを着た人達。
今夜、この場所に集まった(仮)Tシャツを着たヲタク達を見ていると、彼ら(彼女ら)はとても強い意志を持って武道館に来ているように思えた。
どんなアイドルのコンサートよりも、アプガのライブは観客のヲタTの着用率が高いが、そこには何か特別な意味というか無言のメッセージを発しているように自分は感じてしまう。
いつものライブと同じように「Born Slippy」のSEが場内を包み、アプガの武道館が始まった。
ライブの冒頭、三味線の生演奏に合わせて空手着を着た佐保ちゃんが登場し、いきなり氷柱割りが行われる。
この日、初めてアプガを観た人達にとっては、まったくもって意味不明な光景に映っただろうが「イヤー」の掛け声とともに見事、氷は真っ二つに割れ、ライブがスタートする。
着物風の帯がついた新しい衣装に身を包んだアプガのメンバー達。
「 Pump Up!!」
ステージ上にスクリーンがないため、自分の席からではメンバーの表情をうかがい知ることが出来ない。しかし紛れもなく彼女達がいま武道館のステージに立っているのだということを実感し胸が熱くなる。
オレのように胸を張ってアプガの専ヲタとはいえないような半端者でさえジーンときたのだから、エッグ時代から推していたような古参の人達は、この時点で号泣していたかもしれない。
エッグといえば最初のMCのとき、佐保ちゃんが「今日はハロプロエッグ時代に一緒に頑張ってきた仲間たちもたくさん応援に駆けつけてくれています」と、関係者席に手を振っていたのが印象的だった。あとあと判明するのだが、この日の関係者席には現ハロプロメンバーを含む、ハロプロエッグ出身者が大集合していた。(中でもいちばん驚いたのは、前日に武道館公演を行ったばかりのJ=Jの佳林ちゃんがきていたことだ。本来ならば前日の余韻に浸りながら家でゆっくりしていたいだろうに、わざわざ先輩達のハレの姿を観に来てくれるとはなんて良い子なんだろう)
今回の武道館公演はアプガにとっては、ひとつの到達点といえるものだったが、全体の印象はこれまでの彼女達のライブとは少し異なっていた。
まずこれまでのどのライブよりも演出が凝っていた。
派手なレーザー光線。着ぐるみを着たゆるキャラ。ピアノとバイオリンの奏者。小林幸子から借りてきたステージ印象。全身に電球がびっしりとついたボディスーツ。本物のお神輿。巨大なミラーボール。
これまでの彼女達のステージで使われた小道具といえば水鉄砲くらいしかなかったわけで、まさに武道館ならではの大盤振る舞いといったところだが、もっともクラウドファンディングで支援者から金を募った以上は最低でもこのぐらいはやらないと納得しないだろう。
また以前までのアプガのコンサートだと押したり引いたりといった構成がほとんどなく、最初から最後までひたすら体力だけで押しまくるというワンパターンなものが多かったが、今回のライブではピアノの伴奏による「beautiful dreamer」が歌われたり、メンバーのソロコーナーが設けられたりと、今までにないような工夫が施されていた。
しかし、こうした迎合的な演出はひとつもアプガらしくなく、もっといえばアプガのヲタは誰一人として、彼女達のコンサートにピアノの伴奏によるバラードなんか求めていないと思う。
もちろんいつものアプガらしいパフォーマンスもコンサートの要所要所に織り込まれていて、中でも圧巻だったのは中盤に披露されたEDMメドレーだった。
最近のアプガのコンサートはノンストップのメドレーが見せ場になっているが、今回は「パーリーピーポーエイリアン」がメドレーに組み込まれたことにより、EDM的強度が急激に増したような印象を受ける。
アプガヲタの間では、どういうわけかこの曲の評価が低いようだが、個人的にはアプガの全レパートリーの中でも最上位に位置する1曲だという思いが強い。
アンコールの1曲目に歌われたデビュー曲「Going my ⬆」がエモかった。
「一緒に夢語っていた子がミニスカートで輝いている。頭でわかってるんだけど悔しくて涙出た」
なんというゴッドアングルだろう。一緒に夢語っていた子が、今夜、武道館のスタンド席から彼女達に声援を送っているのだ。
そしておそらくなにか重大な発表があるだろうなと覚悟はしていたが、予想通りマイクを手にしたみーこ。
「私、仙石みなみも25歳になり、今ここで決めたことがあります」
「きたか…」誰もがそう思っただろう。
しかし彼女が発した言葉は、良い意味で予想に反したものだった。
【アップアップガールズ(2)募集】(かっこにきと読むらしい)
場内の盛り上がりは告知された内容に沸いたわけではなく、みーこがこれからもアップアップガールズ(仮)のメンバーでいてくれることに対する安堵感だろう。
何にしてもこれでアプガの武道館はハッピーエンドで終われる。
そしてアンコール最後の曲は「サマービーム」。
会場内のすべての照明が点灯し、場内は昼のように明るい。スタッフが手動で押すトロッコに乗ってアリーナを練り歩くメンバー。
日本武道館というハコが彼女達に似合っていたかと言われればそんなことはなかったし、興行的にみても決して成功したとはいえなかっただろう。
しかしトロッコの上から観客席に手を振るメンバーの笑顔を観たとき、本当にこの公演が実現してよかったと思った。
いつの日にか、あと六千人を集め、この会場をフルハウスにすることを夢ながら、これからも応援し続けようとオレは誓った。