しず風 & 絆にとって、初のミニアルバムが、いよいよ明日、リリースされるのだが、それに関連したリリースイベントが先週末から都内で始まった。
彼女達のライブは、10月末に、渋谷AXで行われた@JAM FIELDで観ているので、実際には、それからまだ一週間しか経っていないことになる。
しかし、正直に言ってしまうと、あの日のしず風 & 絆のライブは、本来の彼女達の魅力には、ほど遠いものだったと自分は思っている。
でんぱ組inc.やアプガ、アイスト関連の客に場内が占拠され、ヲタの数で劣るしず風にとって、超絶アウェーな状況だった点はまあ同情できる。
しかし、逆にああいう状況だからこそ、いつも以上に思いきり行儀の悪いライブを展開し、他のグループのヲタにしず風の凄みを見せつけて欲しかった。
ラストの「PINKのロケット」で、晴子姉さんが、ほとんどヤケクソ気味にフロア内の観客の頭上を歩行したが、たぶんアレは予定外の行動だったのだろう。
今にして思うと、あのパフォーマンスには、リーダーとしての責任感から、晴子さんが何とかして場内を沸かすために見せた意地のようにも思えた。
今年のTIFのHOT STAGEで、しず風を観たときにも、このときと同様の感想を抱いたが、いずれにしても「大きなハコでの対バンに弱い」という、彼女達の弱点を露呈してしまったかのようにもみえた。
それから一週間、場所を渋谷のタワーレコードB1Fに移しての、今回のライブ。
いきなり一曲目は、今回のアルバムにも収録されているラフィン・ノーズのカバーで「GET THE GLORY」。
一年半前に、何の予備知識もなく、彼女達のライブを目撃したとき、いちばん自分の心に突き刺さったのが、この曲だった。
たぶんに表層的な見方ではあるが、女性アイドルグループが日本のパンク・ロックのカバーを歌っているというのは、それなりのインパクトがあったし、面白いと思った。そして、いまだに自分自身にとっての、しず風 & 絆のフェイバリット・チューンはこの曲である。
この日のライブでも、晴子姉さんは、観客の頭上を歩行し、美空は笑顔で客席にダイブをかますという、おおよそアイドルらしからぬ「ロックの伝統芸」を披露した。
また、終演後も、この手のリリースイベントでは異例ともいえるヲタのアンコールの声に答えたメンバーは、6人全員で舞台から下りてきて、フロアの中央で観客に囲まれたながら、「しず風にのって」を歌った。
こういった演者と観客の織り成す密着感と距離の近さこそが、彼女達のライブの本質であり、真骨頂なのだろうと思う。
ライブ後の、CD予約特典では、メンバー二人とチェキが撮れるというので、いつものように、ひとりは美空を指名をしたが、もう一人はどうしようかと、悩んだ末に、晴子姉さんと撮ることにした。
しず風 & 絆の佇まいというのは、まるで巡業する旅芸人のような雰囲気があるが、それをもっとも肉体的に体現しているメンバーっていうのが、オレに言わせると晴子姉さんなんだわ。
これは自分の勝手なイメージかもしれないが、彼女の存在というのは、グループのリーダーというよりも、バーサスファミリーの座長のような雰囲気がある。(それは、チームでもグループでもなく「一座」という呼び方が彼女達には似合う)
かわいい、美しい、あるいは色っぽいとか、艷っぽいアイドルというのはいる。しかし、晴子姉さんみたいな「粋」と「カッコよさ」を備えたアイドルというのは、稀有な存在だと自分は思っている。
渋谷でのイベントの翌々日の月曜日は、ほとんど自分の生活空間といっていい中野のTSUTAYAにしず風メンバーがやってきた。
去年の秋以来だから、ちょうど一年ぶりに中野に参上した彼女達だが、こういった少しマイナーな都市でのイベントは、秋葉原や渋谷といった安定感のあるリリイベ現場とは少し違ったドサ回り感があって、それはそれで楽しい。
中野での予約特典はメンバー全員とのチェキ撮影だが、考えてみると、複数のアイドルに囲まれて写真を撮った経験とか、あまりないので結構、新鮮だったりもした。
フラゲ日の今日、さっそく今回のアルバムをTSUTAYAまで取りに行き、さきほどから何度かリピートして聴いているのだが、古い曲のバックトラックは、どうやら、今回のアルバム用に録り直している模様。限りなくライブっぽい音に仕上がっており、今回のテイクのほうが、はるかに自分好みの音である。また裏のジャケットが、ピストルズのオマージュになっているのには笑えた。
さて、あとはアルバムをたっぷり聴き込んで、今週末のダイバーシティのイベントに備えるだけだ。