自社ならではの志や事業概念から存在価値を見出し、明確に明文化した企業理念を確立する

自社を説明する際に
「八百屋だから野菜を売っている」
「建設会社だから建物を建てている」
と説明する経営者は思いのほか多くいらっしゃいます。
もちろん、間違いじゃないです。
正しいか間違いかと言ったら、正しい。それは間違いない。誰にも否定できない。

もう少し事業の本質を「とらえたような」表現をされる「頭がよい」経営者もたくさんいらっしゃいますが、そう言う方も含めて自社の主体的な存在価値を見いだしてきちんと説明できる経営者は少ないのも現実です。

建物を建てるから建設会社というような即物的な表現ではなく、その建設及び付帯サービスの提供によって、お客様にどのように役に立ち、ひいては社会にどのように貢献していくのかという事業概念の定義を明示し共有する必要があります。
隣の建設会社と何が違うのか、同業他社とどう違うのか、自社ならではのあり方を自社ならではの魅力として発信する必要がありますが、皆様の会社ではいかがですか?

事業内容や商品やサービスそのもの自体ではなく、自社ならではの事業概念(事業概念の説明は前述)を定義づけできているかどうかことです。これは、百社百様であるはずです。しかし多くの経営者の方々にこのあたりの思想的な探索が不足しているのが現状です。

残念ながらCIに関心低い経営者や、CIはロゴを直す程度と認識されている経営者ほど、こういった事業概念や企業の存在価値を明示する企業理念に関する理解度が総じて低く、儲かればよいというスタイルがベストであるという幻想を抱かれているケースが多いようです。

そんな企業の企業理念を見ると、企業理念があっても経営理念ならまだましながら経営方針や行動基準を企業理念のように掲げられており、勉強不足は否めません。異業種に通用するような表現だったり、同業他社全てが使用できる残念きわまりない理念を作ってしまう。

そういった会社さんの会社案内は自然に推して知るべしという水準となります。制作会社さんの優劣により表現レベルが上下するという運不運によってしまうという不確実要素に依拠したりしています。

ご存じの制作会社さんにご依頼することもあるでしょうし、そういう会社さんの主張を言われるままお作りするだけの制作会社さんも沢山あるので、たまたま制作能力が高い制作会社に当たればよいが、反対の場合もあり、お知り合いの縁やたまたまの運で表現レベルが上下してしまうと言う事態となります。残念なことではありますが、これがある意味現実的な中小企業の実態ともいえます。

思想的ロジックに基づいて主体的な存在価値を明示した企業理念から事業そのものの本質を定義した事業概念まで一貫してクリエイティブ表現を行なう必要がありますが、それにはやはり思想的な基本に基づいた判断基準が採用する企業の側にないといけないはずです。

しかし中小企業やベンチャー企業では、経営者がそれを担わない限りなかなか難しいのが現実だと思います。
CIもブランディングも、それを表現する媒体アイテム全てが、企業思想に基づく表現物なので、どうするかはその会社の思想によりますから、これで良いんだと言うことであればそれでよいのだと思います。