CI導入のメリット解説その8  企業のシンボルマークを決める前に一番大事なこと。





「それなら早速、現在のデザインを見直し、新しいデザインに取り掛かればいいのか」



そう思われるかもしれません。



でも、その前にすべきことがあります。





 具体的なデザイン作業に入る前に確認しなければならないことがあるのです。





 これを知らないWebデザイナーの卵の皆さん方がいきなり取りかかるから方向性も何もないしっちゃかめっちゃかなデザインが世に出てしまうのです。



~企業のシンボルをデザイン開発するにあたって最初に考えるべきこと。



それは、

「あなたの会社にとってCIとは何か」

「CIによって何を実現したいのか」

ということです。



すでに触れましたが、CIの手法は多岐にわたります。会社ごとに、何をすべきかが大きく異なるのです。



たとえば、現在、シンボル・マークの表示方法にばらつきがあり、コミュニケーションに支障が出ているとすれば、マークの見直しを行います。

社名が業務内容や時代にそぐわないものになっているとすれば社名を変えることもになります。





このように、CIで実行することや目指すものは会社によって違います。

まったくのオーダーメイドで進められるのがCIです。

方向性を固めてはじめて、具体的な導入作業へと進んでいけるのです。



CIの普及に伴い、インターネットなどで、会社のシンボル・マークやロゴタイプなどを安価な料金でつくる業者が出てきました。



でも、単にデザインを新しく変えるだけでは、何の効果も得られません。

しかも、安く適当に、、どうでしょう?

身近な者に置き換えて考えてみてください。



 たとえば、インスタントラーメン(100円)もラーメンであり、行列のできる麺の匠が丹誠込めて作る素材にこだわりまくった無化調ラーメン(1000円)だってラーメンであるということは間違いありませ。

まともな日本人なら、その違いがわかります。



ところが、デザインについては経営者の勉強が足りないのか、美意識の置き所が違うのか。こんなことが平気で起こります。

ベンツにロレックス、、、すごい社長の名刺を見ると、、、あれ?なんでこんなにしょぼいの!?みたいな。



 日々の暮らしの中ではインスタントラーメンで済ますこともあるでしょう。



 そんな感覚で何か会社の消耗品を調達することはあるでしょう。それは否定しません。



 ただ、自らの会社の存在価値を世に示す、、アイデンティティという無形の資産をイメージ化もしくは記号化して明示し訴求するのにインスタントな安物デザインを選択するという経営者の感覚はいただけませんね。



 ユニクロのTシャツ、トレーナー、フリース、、日曜日に家庭で着るなら良いでしょう。

しかし、会社の経営者のあなたが会社の代表してプレゼンをしに出かける際には、良いスーツを着るでしょう。

そこそこ以上のビジネスマンならば、ネクタイも、いわゆる勝負ネクタイ的なお気に入り、げんの良いネクタイというのはあると思います。

講演を依頼されたり、大事なクライアントの経営者からパーティーに呼ばれたらそれなりの服装をするでしょう。

かなり気にして身につけるアイテムを選ぶはずです。

僕レベルでも、そんな時は、スーツ、シャツ、ネクタイ、靴、髪、コロン、気にします。

ビジネスマンなら当たり前です。センスも磨こうと常々思っているでしょう。

僕の後輩が男ネイル事業を始めました。まだまだスモールビジネスながら反響は素晴らしいらしいです。

イメージというのがどう作用するのか、わかっているのです。



なのに、会社で一番大事な表示要素である表看板=会社のシンボルを何故インスタントで済ますのでしょう。



最近の云々、、デザインはわからない云々、、という言い訳が聞こえてくる場合があります。

しかし、日本は元々デザインやイメージを大事にしてきた国であり、民族であります。

わが国には、暖簾、看板、意匠、家紋、その他アイデンティティーとしてのシンボルやデザインは大変大事にされてきた文化があります。

CI的な背景は、独立300年のアメリカなんかよりもずっと深く古く私たちの生活や文化の背景に刻まれているのです。



もちろん、戦時中の不幸な窮乏生活や復興時の負の文化の影響、節約節制してという時代もありましたから、そこから引きずる精神背景もあるに違いません。





しかし、経営者の皆さんがこういった美意識を失っている場面に遭遇する場面にたまに出会います。



金ぴかのロレックス、ドーンとしたベンツ、、そして会社のシンボルマークは出入りの印刷屋さんに気軽に頼んだ随分インスタントなデザインだったり、創業時に適当に作成した風化寸前のロゴだったり。



もはや企業のシンボルとは言えない安物「ロゴ」のデザイン性が低い名刺と、ロレックスとベンツ。このバランス感覚は卒倒モノですが、、、。



品が無くなってきたので、話を戻します。



デザインを開発する前に、実は必要な要素、背景的な裏付けとして必要なことは実は沢山あります。

専門用語は避けて平易にご紹介しますが、ざっと、、

「企業理念」

「会社が目指しているもの」

「大切にしていること」

「お客様に抱いていただきたいイメージ」

などがあります。



それをベースにどうあるべきかを検討して、あるべき方向を見定めてCIデザインは開発されます。



デザインはCIにおいて重要な鍵を握りますが、デザインだけで完結するような薄っぺらな方法ではありません。



デザインに込める
思い=企業理念(経営理念にあらず)、事業概念(事業内容ではあらず)、創業の志(建前や結果論にあらず)、企業の思想(偽善欺瞞にあらず)、、これこそが、何よりも大切なのです。




今日はこんなところで。


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