西村寿行、逝く
先生の死去から既に一週間以上過ぎてますがミクシーの日記の方に書いたのですが、此処のジャンルで書評を扱っているので取り上げます。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20070826i515.htm
より
バイオレンス小説の第一人者、西村寿行さんが死去
バイオレンス小説の第一人者として知られる作家の西村寿行(にしむら・じゅこう=本名・としゆき)さんが23日、肝不全のため亡くなった。76歳だった。
高松市出身。新聞記者、速記者、運転手など様々な職業を経て、1969年に動物小説「犬鷲」で作家デビュー。「君よ憤怒の河を渉(わた)れ」を始め、暴力や性といった人間の衝動を前面に骨太なストーリーを疾走させる「バイオレンス・ノベル」の旗手として支持を受けた。同作や「犬笛」などの作品は映画化され、79年の長者番付では、作家部門トップに躍り出るなど、時代を代表する人気作家になった。動物小説、パニック小説も得意とした。76年に「咆哮(ほうこう)は消えた」、77年に「滅びの笛」「魔笛が聴こえる」で3回直木賞の候補になり、生涯に600冊以上の著書を世に送り出した。
(2007年8月27日11時55分 読売新聞)
日本の作家の中で飛びぬけて好きでした。 現在は愛だの泣けるだのとぬるま湯小説が跳梁跋扈している世界でこれほど人間の裏側を直視した小説はなかったでしょう。
男と女の欲望の混沌とした様相を描く容赦無い文章、動物と人間の関わり合いを描いた作品は明かに他の作家とは一線を隔し、あの独特なリズム感のある文章は読む者を惹きつけずにはおかない作家さんでした。
うしおととらの藤田氏も好きだといってましたね。からくりサーカスのヒロインが先生の作品に出てくるヒロインの名前だったり。
意外なところではジョジョの奇妙な冒険の荒木氏。
荒木氏がファンだというソースは画集「JOJO A GOGO!」収録のロングインタビュー。
小説はあまり読まないけど筒井康隆と西村寿行は好きだったと発言してます。
モンスターの管理人 さんも数寄だったようですね。
寿行を倒すのは癌であってはならない。
ちーこの話がでるももう泣けてきます。
先生の動物に対する描写力は誰にも辿り着けない優しさに満ちておりました。
人間に対する深い洞察力は体験から来てるのでしょうか、そして小説を作るための物凄い情報量を斜めにサッと切り崩しエッセンスを汲み上げるセンスは舌を巻く程に凄い先生でした。
カミングアウトしますと確かにエロい人なんですけれどそれに至る理由が人間の情念に密接に関ってきてに臓腑を抉り取るとるような人間の根本を問い掛ける描写の連続なので思わず、勃ったチンコをシコった覚えが・・・
まさか文章で抜けるとは思ってみませんでした。
脳を灼くという表現が是ほどまでに文章で体現した人は今だ嘗ていません。
エロ小説よりも消費文章が少なく、エロ小説よりも数倍エロいという行間で読ませるのはこの先生しかいないような気がする。
- わが魂、久遠(とわ)の闇に (徳間文庫)/西村 寿行
- ¥800
- Amazon.co.jp
- 本当は犬笛をプッシュしたかったのですが無いので是でどうぞ。
- 人は生きるために人間を喰らうという凄いテーマです。
- 怖気をふるってお読みください。 戦慄とはこの小説のためにあった在った言葉ではないかと思うくらい凄いです。
ブックオフで見かけたら是非手に入れて欲しいもの以下↓
個人的寿行先生のベスト10
1犬笛
犬の性である人間に対する愛が哀しくて泣けてきます。
2滅びの笛
熊笹の開花そして大量発生した鼠、極限状態に追い込まれた人間はどのようなおぞましい愚かしい行為に走るか・・鏡をつきつけれたらような気持になります。
3闇に潜みしは誰れぞ
スケールの大きな作品で地獄の中でもがき苦しむ魂の行方は菩薩というふうに落ち着き、読後の爽快感はなにか突き抜けるものが在りました。
4我が魂久遠の闇に
凄いです・・・
5蒼茫の大地、滅ぶ
滅びの笛の蝗版ですが、いけ、やれ、やってしまえという処で極自然界であるような事に裏切られてしまう。
よくぞ此処で方向転換できたものだと唸らされます。
6去りなんいざ狂人の国を
数々の命のドラマを一瞬にして奪い取る儚さは、凄いです。
7わらの街
軽いタッチですがやることはしっかりやり、ふたりの男たちが繰り広げる話は可笑しいけれど男の性が悲しいところが壺を押えてアクション小説としては読み易い取っ付き易いです。
8汝!怒りもて報いよ
去りなん・・も某教団のサリン事件に似たシチュですが、こちら完全に気張らずにエロ小説として楽しめます。
9往きてまた還らず
最初からぶっ飛んでます。ロケットスタート顔負けのスピーディさで加速Gで脳が蕩けそうです。
その蕩けた侭あっと言う間に最後を迎えます。
10蒼き海の伝説
寿行先生の初期作品で荒削りな味わいと後に大化し、魅せる片鱗を覗かせていて、そう云う意味でこんな小説を書いていたんだという発見が在ります。
篠田節子も好きだったようですね。実は大好きな作家さんなんです。
ああ・・やっぱり波長が合うんです。
後、記事でステキなコメントが載っていたのでリンク