モーリス・ベジャールのニーベルングの指環
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★NBS「ベルリン国立バレエ・ニーベルングの指環(全幕)」を見る~1990年来日公演プログラムより~
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進行のためのメモ
モーリス・ベジャール
「指環」の主要問題:法と自由、実をもたらさない規則、無秩序とその解消、
ヴォータンの槍は世界における秩序の保証、
この槍はしかしその持ち主を奴隷にする。
芸術的な、かつまた政治的な主要問題:
生命を滅ぼす独裁制あるいは生活の妨げになる無秩序、
アカデミズムあるいはディレッタンティズム、因襲的で堅苦しい芸術あるいは見せかけの自由の快適さである。
調和とは、もしかして権力の放棄、所有の放棄、間違った理想像の放棄によって得られるのかもしれない。
民主主義的人間とは、法と永続的な革命の間を綱渡りする者。
ローゲ、火、生活にとって重要、しかし破壊的。
有益でしかも否定的な力。
メフィスト。
ヴォータンとローゲ。
私はゲーテの「ファウスト」の二人の主要人物を思い出す。
老博士と、むしろ悪を欲して、時として善を成す力。
ヴォータンの槍ダンサーのバックボーンのバー。
ヴォータンの槍。
法。
ぜひ必要なもの、しかし破棄されなければならない。
ジークフリート。
ダンサーのバー、無しに済まされない。
しかし、人々はそのバーを忘れさらなければならない。
輪。
圏。
その圏内に閉じこめられている自我。
愛はこの自我を解放し、輪を突破する力。
自我は、黄金や神々の装束のように死の象徴。
しかし、すべての人間的な関係にとっては腐敗。
「指環」とは、臆病な男性の不条理の存在の前では女性の力。
女性の力は、絶対的な秩序(フリッカ) であると同時に永続的な革命(ブリュンヒルデ)、
叡智(エルダ)、無条件なる愛(ジークリンデ)として示される。
女性たちは輪を包囲し、運命の糸の結び目を解く。
ブリュンヒルデは、終焉が新たなる始まりとなることを示すキーになる人物であり、
最後に次のように言う。
私がどこへ行くか、あなた達は知っていて?
希望の家を離れ、狂気の家を永久に捨てます。
永遠の変化のために開かれていた扉に、
私は鍵をかけ、
世界遍歴の目的の地の、
自ら選んだ、
平安で、
最も神聖な国へ、
生まれ変わることで救われて、
今、
すべてを知った私は、
移って行くのです。
永遠なものものすべての至福なる終焉
いかにして私がそれを知ったか、
ご存じですか?
悲しい愛を体験した深い苦しみが、
私の眼を開いてくれたのです。
そう、
私は世界が終わるのを見たのです。