ジークフリートの質問1(ミクシー内転載記事01) | 萬日記 ガラクタ部屋とも云う

ジークフリートの質問1(ミクシー内転載記事01)

指環ミクシー出張所 にてコミュ参加者である、おはぎ様による質問がとても面白いので、

ここで転載します。

(注  

完全転載ではないのでこの記事を最初から読みたい方、ミクシーにご招待しますのでメッセージ下さい。)


START


>>Q


リングの「ジークフリート」の良さがいまいち分かりません。
「ワルキューレ」や「神々の黄昏」は聴き所も満載で、
劇もドラマチックな展開を見せるので、
非常に楽しめます。
しかし、「ジークフリート」は何度観ても退屈で、
苦痛すら感じる場面もあります。

例えば、ミーメとジークフリートが延々と悪態をついているところなど、聴いていていい加減飽き飽きしてくる私は、
まだまだ未熟なのかなぁと
いつもがっかりします。

もし、こういうところが面白いとか、
ここの音楽がいいとか、
こういう見方があるとか、

何かありましたら、教えていただければと思います。


>>A

ども、いらっしゃいませ!

ジー君がお嫌いですか?

解ります♪解ります♪

ある意味四部作の中で一番平坦かも知れません。
最初のミーメとジー君の掛け合いは漫然かつ漫談そのものでいらんよー長くてーと思いました。

是と同じ事がジー君とブリュ姫タンの出会いでもあったりします。

そんな言い訳はいいからはよ脱げやみたいな・・・(爆

テキストから読み解くと単なるDQNの竜退治アンド嫁さがしでは無く、実に細やかで繊細で、哲学書に近い乗りがあります。

つまり不完全な人間から完全無欠なる者へ人格形成されてゆくお話です。

劇場とかで其の侭観てしまうとミーメの虐められっぷリに注目がいって、ジー君の暴力が鼻につき、感情移入なんかとても出来ません。


多分最大の難関である第一幕から順にいきますね。


第一幕第1場
ではジー君の止め処も無い苛立ちがメインです。自分のアイデンテティを確立できない為怒りとしてしか発散できない少年がいます。
siegfried 1
ミーメという妖怪が少年ジークフリートに付き纏い、嫌がっている構造が劇という形で現れない限りジー君何怒ってンの?という風に解釈されてしまいます。

 ここで漸く言葉の綾から少年は生きる目的を探しだす訳なんですが、
注目すべき点はミーメのがジー君の母親に言及している台詞です。


母親?えーっとなんだっけな・・・そうだジークリンデとかいっていたっけ・・・
父親?逢った事も無いのに知るか!

この(つかえなーような)折れた剣がここで世話になった礼だといって俺に渡したんだ。

という台詞を恩着せがましくミーメが被せるのが重要なんです。

そしてミーメが


此処で淋しくお前を生んで、生んだ時産褥の為に死んだ


と説明します。


第一幕第二場
では流離い人に身を窶したヴォータンが現れます。

(個人的には槍の動機、ワルハラの動機、契約の動機が、綺麗な形(パロディカルといってもいいかも)で紡ぎ出さされるので好きなんですが)

ここでミーメと知恵比べみたいな事をするのですが、ここで台詞での重要な点は

前述のジークフリートの説明と全く違っている事を際立たせ、かつ昔を回顧している説明部分です。

siegfried 3
ミーメは英雄の事は殆ど知らないのにヴェルズング(つまりジークフリートの父親、母親)だけは知っている
 しかもジークムント殺害の原因と状況までも事細かく知っている

ここで第一場の台詞
「うーーんとなんだっけなー、そうだジークリンデとか言っていたっけ」と云う風に、さも、昔で些細な出来事のように語るミーメとは大違いです。

最大の違いな点はヴォータンに剣が誰が蘇らせるのか?との問いに彼は

「あの、女から” く す ね た ”剣は炎が通りゃしない・・・

と漏らしている点です。

つまり第一場では正確な情報を交えつつ自分の都合のいいように情報を曲げてジークフリートに伝えいる訳で、そうすると以下の情報もミーメの口から言われている限り、嘘である可能性がでてくる訳です。



此処で淋しくお前を生んで、生んだ時産褥の為に死んだ


是以上はワーグナー御大は追記してませんので憶測の域でしか在りません。

が、是がミーメの上には諂い下には過酷に扱う性格を当てはめて推測すると第二幕のジークフリート殺害計画が

すでに予行練習がしてあったのでは?

という風に考えられるわけです。

第三場は有名な鍛冶の歌なので楽しく見れるので問題は無いでしょう。

一応テキスト的は折れた剣の再生ということはこの劇的に観ると結構重要だったりします。
剣というのは深層心理学的にはずばり男根です。

siegrried 2
ワーグナーの場合ジークフリートの成長過程を鍛冶の歌に託し、少年から男への成長過程と自己確立、自立心その他を賑々しく練り合わせ華々しく歌い上げています。
ストーリィ的に見るとりわけ重要でない流れになりますが、成長を追えない劇としては、ある意味肝の部分です。

siegfried 4

これでジークフリートは少年ではなく男として、見てくれと。