ゼルダの伝説 夢幻の砂時計(2007)

※ネタバレなし

【「風のタクト」の続編】

ニンテンドーDS用ソフトとして発売された本作。「風のタクト」の直接的な続編としてのあらすじで物語は展開します。「風のタクト」完結から数年後。

 

テトラ率いる海賊団と共に冒険をしていたリンクですがある日、海中より謎の存在の襲撃を受け、別世界へ放り込まれてしまいます。その中で、テトラも行方不明に。テトラの奪還と元の世界への帰還を目的に、リンクの新たな戦いが始まります。

【夢幻の想像力】

特筆すべきは、DSの2画面、タッチ操作という特性を最大限生かしたゲームデザイン。弓矢の照準をタッチ操作で定める、ブーメランの軌道をタッチ操作で描く。お馴染みのアクションがより直感的な操作で進化。更に海図に航路を描くことで、船の航路を制御する新システムも登場。

中でも注目したいのが、メモシステム。謎解きは「ゼルダの伝説」シリーズでもお馴染みですが、作中で提示されるヒントをすべて覚えるのは至難の業。皆さんメモを片手に挑んだ人も多いのではないでしょうか。

本作ではDSの機能を用いることで、ゲームの途中に、ゲームの中にメモができる。これが実に画期的。

基本、ゲームの謎ときは一つの問いに、一つの答え。しかし、「メモ」の登場でそんな常識は過去のものに。

作中のヒントは、何が重要なのか。限られたスペースに、何を優先的にメモすればよいのか。どのようにメモすれば見やすいのか。10人いれば、10人異なる、メモの仕方が生まれる。

人の数だけの答えがある。

「メモ」の登場により、元々豊かだった「ゼルダの伝説」のゲームデザインは無限の広がりを見せることに。

【名作の一つ】

任天堂のゲームは、プレイヤーを誘導し、柔軟な思考を促すことが強みだと思います。本作は、そんな任天堂の作風を最も強く表現する作品の一つと言えます。

ゲームを通して歴史を教えてくれる作品は数多いです。「メタルギア」シリーズ、「アサシン・クリード」シリーズ等々。

 

ただ、発想力そのものを鍛えてくれるゲームと言えば、やはり任天堂のゲームではないでしょうか。

携帯機で発売されたということもあり、番外編的にみられてしまうことも多い本作ですが、クオリティはシリーズ最高峰。

船のカスタマイズや、入るたびに内装の変わるダンジョンなど、やり込み要素も豊富。「風のタクト」で実装された、カートゥーン調のかわいらしい絵柄を携帯機で再現した点も素晴らしい点。

シリーズに輝く名作の一つと言えるでしょう。