1年と半年前、あの日もたしか雨の日だった。湿気でぬるぬる床のバスケ大会。あの日以来、僕らは大会出場はおろか、練習も思うようにできないまま今日に至った。
“Back to life,back to reality”
もう一度あのコートに立とう。リクの強い決意によって大会参加が決まった。ヤイチはニューアイテムのマウスピースを新調、大阪おっくんは東京行きの切符を用意した。Tも応援参戦。
さあ今日は思い切りスローバックしよう。
久々の大会参加、アラフォーチームの僕らにとって、対戦相手はどこもひとまわり若い印象。彼らのスピードとノリに翻弄されないこと、あとは、抜かれたら容赦なくファールすることを決めた。
さっそく第一試合がスタート。キレッキレの大阪おっくんがかかんに相手のスキをついてドライブ。前日から仕込んできたヤイチもスピードに乗り攻めの姿勢に。しかし後半、相手のスリーが連続で決まり点差をつめられ、同点ノータイム。
最後のボールがヤイチに渡る。
冷静に自らシュートを選択、成功。
これまでだったらパスするところ、落ち着いてミドルジャンパーを沈め決定打に。圧倒的なテンションのあがり方に後半もヤイチに期待が集まる。
ちなみに大会に用意したおしゃれアイテムマウスピースはマスク着用のため誰にも見えないことに気づく。
第二試合、ワイワイ系が相手に。
ナオキはリングのない公園での練習の成果を思う存分発揮。リョータ、大阪おっくん、リクのリバウンド力も相手を圧倒しチームは快勝。
第三試合、今大会注目の相手との対戦。
ここで体をはって執拗なマークに耐え続けてきたリョータがリミッター解除。高速スピンターンやブロックショットで攻守ともに力を発揮。パパとなった山田さんのミドルやリクのハッスルプレーも成功し全員攻撃で見事強敵を撃破。
全勝のまま優勝決定戦へ。
試合開始直後、大阪おっくんのスリーが決まりそのまま突破かと思えた。しかし相手も気持ちの強さが伝わる攻めで試合は均衡。それまで力を発揮していたアラフォーチームのディフェンスもスタミナ切れからじょじょにバランスが乱れ始める。経験値対若さ。後半ついに同点に追いつかれる。
同点のまま試合終了間際、最終ポゼッション。
マイボールでフロントコートへ持ち込む。ナオキのパスは相手に触れスローインに。
残り約2秒、トップのナオキからフリーのヤイチへパスが渡る。
ヤイチはパスを選択。そしてブザー。
ヤイチいわく残り時間に気づかず同点のまま試合終了。一瞬ザワザワするが、総合1位優勝は確定した。
勝因はリョータ、大阪おっくん、リクのオフェンスリバウンド制圧も大きいが、初戦のヤイチのクラッチシュートが運命を左右したことに違いないため、誰も終わり方を責める者はいなかった。 それ以上に久々の優勝の味は格別だった。
優勝トロフィーを手に、往復新幹線代2万円以上をかけて参加をした大阪おっくんも満足の表情に。
一年半ぶりの感情、これは体験しないとわからない。何年離れていても一瞬でスローバックできる。このスポーツ、このチームは素晴らしい。







