私にとっての料理とは
飲食店を営んでいると、「料理」が「仕事」になる。
やっていくうちに、誰のための料理なのかが迷走するときもある。
時間やコスト節約のために、なるべく早く調理できる方法を考える。
調理工程の一部を外に任せる。大量に作り保存する方法をみつける。
そうやって試行錯誤するのは、「料理」が「仕事」になってしまっているから。
果たしてそれは、『私にとっての料理』なのだろうか。
自分で作って自分で食べるわけじゃあない。
作った料理を提供するお客様があっての「料理」であり「仕事」なんだ。
以前テレビドラマで「おせんさん」の話をしたけど
またその第1話を見直して、ようやく自分にとっての「料理」を見つけ出せた感じ。
おせんさんは、お客様に豆腐の原産地を聞かれて答えに窮し
新人のよっちゃんに「そんなことも知らないのか。」と幻滅される。
その後、店に豆腐を納めているお豆腐屋さんへ行ったときに、おせんさんがよっちゃんに言った言葉。
水に浸してある様々な産地の豆を食べ比べながら
「産地の違いがわっちには全然分からない。
だけどお豆腐屋さんには分かるんだ。
それが職人ってもんでしょ。
わっちには豆腐の素性なんか分かんない。
わっちは、こさえた職人さんの腕と人柄が信じられればそれでいいんだ。
店の料理は、手間を惜しまず人を信じることから始まるんでやんすよ。」
私自身は職人さんではないし、どこかの料理店で修業をしてきたわけでもない。
でも、美味しい料理を提供して、お客様が喜ぶこと
つまり飲食店を経営したいのだという気持ちが強く
そこから派生するコミュニティや人のつながりを作ることが、たまらなく好きなんだ。
美味しい料理は、作った人の腕と人柄。
信じた人の作った料理は、やっぱりたくさんのお客さんに食べてもらいたい。
そう思えばこそ、店で一からすべて手作りにこだわる必要はない。
信じた人の作った料理は、私自身も胸を張って提供できる。
信じるためには、対話が必要で、原材料だけの話ではない。
ああ、やっとここにたどり着いた気がする。
次にオープンするお店では、それを実現させたいと思った。

