Nikkor師匠がブレーキの件で苦労されていました。
ブレンボ40mmレーシングキャリパー。
同じブレンボのキャリパーですが、ラジアルマウントモノブロックキャリパーです。
ブレーキマスターと、ブレーキキャリパーの関係は、まさに上の図の通り。
ですから、上の説明の通り、タッチは硬く、ストロークは短く、同じ制動力を得るためには、大きな力で握る必要があるわけです。
実は私も、ブレーキカスタムでは散々な目に遭い、散財しましたぁ!!
当初、愛車ZRX1200DAEGに装着したブレーキキャリパーはこれ。

更にクロモリ製のブリッジボルトをチタンボルトに交換。
パッド無しの重量は600gを切る軽さ。
でも、これ、引きづりが酷くて難儀しました。
どれだけメンテナンスしても駄目。
シールを交換したり、フルードを交換したり、パッドを交換したりもしました。しかし、熱が入ると必ず酷い引きづりが発生しました。
お山やサーキットを走った後に、前輪を浮かせて手で回すと、1周するのがやっと。
ガガッ と音がして、ピタッ と回転が止まりました(笑)
効きが良いとも、タッチが良いとも感じることが無く、しかもメンテナンスが面倒臭いとなれば、私にとっては軽い以外メリットがありませんでした。
そこで、次にこれにしたわけです。

レーシングは削り出しでしたが、こいつは鋳造品です。
鋳造による強度的問題は、モノブロックと言うことで相殺です。
重量はパッド込みで1000gあります。
すっげー重くなったような気がしますが、レーシングの重量はパッド無しのものです。
込み込みで計算すれば、左右合わせて2~300gの違いしかないと思います。
このキャリパーに交換した最大の理由は、ダストシールがあること。
やはり、公道をメインに走る車両のキャリパーですから、ダストシールはあった方が良いです。
で、引きづりは改善したのか?
と、問われればですね、、
微妙です。
交換後は、お山やサーキットを走った後でも、フロントを浮かせて手で回すと、2~3回転はします。
これが良いのか悪いのかが判断できません。
多分なのですが、純正キャリパーであれば、もっと軽く空転するのではないかと思うのです。
まぁ、レーシングより改善したことは確かです。
もしかすると、ピストンの戻り具合と、引きづりの度合いは比例するのではないでしょうか?
レーシングは無駄な動きを少しでも抑えるように作られているのかもしれません。
性能的にはですね、、
これも微妙です。
交換当初は、すっげー効くようになった!! なんて感じていましたが、
よくよく考えると、ストッピングパワーは入力する力(デスクを挟む力)と、パッドの摩擦力(性能)以上のものにはなりえないのですよね。
理論的に言うと、変わるのはタッチです。
これはパスカルの原理で説明できます。

マスターのピストン径が同じならば、キャリパーのピストン径が大きくなった場合。
タッチが硬くなり、ストロークが小さくなり、大きな力で握る必要があります。
逆に、キャリパーピストン径が小さくなった場合。
タッチが柔らかくなり、ストロークが大きなり、小さな力で握ることができます。
私の場合、キャリパーだけ交換して、マスターはそのままでした。

少し握っただけで効く!!
なんて感じたのは、単にストロークが小さくなったからですね。
キャリパーと同様、マスターのピストン径とレバー比を変えたときにも、同じ変化が起きます。
ですから、クラッチマスターのピストン径を小さいものに交換すると、クラッチが軽くなるのです。
その分、ストロークは大きくなるので注意が必要です。
この仕組みが理解できると、DAEGの純正ブレーキのタッチが柔らかいからと言って、効きが悪い、と言うことにはならないことが解ります。
私が、「ブレンボ良いですよね」と褒められたときに、必ず少しだけ否定的なお話をするのはその為です。
ブレンボだから良い と言うわけではないのです。
純正ブレーキであっても、高性能なパッドを装着すれば、制動力は間違いなく向上します。
逆に、マスターとキャリパーのバランスが悪いと、いくらパーツ自体が高性能であっても、ちっとも良い結果は得られないことになります。
更には、ディスクとキャリパー、ディスクとパッドの相性も問題になります。
それ以外にも、ブレーキに関わる要素はたくさんあるはず。
それ以上は、我々素人には理解できないディープな世界になると思われます。
カスタムって本当に難しいです。
何かを得るためには、何かを犠牲にする必要がある。
最近では、それがカスタムする、ってことだと思うことにしています。
そして、一番大事なことは、バランスです。
私は今でも、ノーマルのDAEGに初めて乗ったときの、あの乗りやすさを忘れていません。
まさに、バランスのとれた大変良いバイクだと感じました。

まぁ、偉そうに語っても、私のは かっこだけ ですけどね~(笑)