A氏はその日、かねてより計画していた作戦を実行した
作戦を実行するために必要な人物を探し、
綿密な打ち合わせを繰り返し、
ついにその日を迎えたのである
ターゲットの女性S
彼女は人見知りしない性格で、誰とでもすぐ打ち解けた
そしてすぐに初対面の人物に彼女のルールに従ってニックネームをつけた
実に単純なルール
「こちらはトモ子さんです」
「こんにちは、ともちん」
「初めまして、ジュンペイと言います」
「よろしくね、ジュンペイちん」
その人物が他人にどう呼ばれていようとも、
彼女は頑なにそのルールに準じた
A氏も彼女に初めて会った時から
「Aちん」と呼ばれていた
そこが今回の作戦の重要なポイントである
彼女をいきつけの喫茶店に呼び出して
約束の時間、すなわち作戦実行まであと数分
喫茶店の入り口をビルの陰から監視する
後ろには、この作戦のためにアメリカから連れてきた相棒が控えている
「彼女は自分に課したルールによって、間違いなく俺の策にはまる。
その瞬間、俺はどんな顔を彼女に向けてやろうか・・・」
A氏は緊張をごまかすように勝利後の振る舞いに考えを巡らせた
そして約束の時間2分前、
彼女がやってきた
「来た!行くぞ!」
相棒に声をかけ、A氏はビルの陰から飛び出した
入り口の前で彼女に声をかける
「やあ!」
「あら、ちょうどいいタイミングだったわね」
当たり障りのない挨拶を交わし・・・
ついに作戦の起爆スイッチを押す
「こちら、アメリカからホームステイに来てる、ポコさん」
「よろしくね・・・・・・・・・ポコりん」
その日、A氏は枕を涙で濡らしたという