どこかでだれかが見ていてくれる -福本清三 後半
ランキングが上がったみたいなので、続きを書きま~す✳
あるとき、福本さんは、人気はいゆうの萬屋錦之助さんが主演する映画の立ち回りに出演することになりました。
けいこ、リハーサルを経て、さつえいが終わった時、萬屋さんが、福本さんに言いました。
「死に方が上手だな。きられるのも芝居のうちだ。いい芝居をしてるな。」
福本さんは、はっとしました。
それまで、福本さんは、夢中で「きられ役」に取り組んではいましたが、芝居をしている気持ちはありませんでした。
「萬屋さんのような大はいゆうが、いい芝居だと言ってくれた・・・・・・。そうか、主役だけで映画がなりたってるんやない。端役といっても、おれも、必要なはいゆうの一人なんや。」
それから、福本さんは、主役がかっこよく見えるきられかたを考えました。
「きられ役」が手をぬくと、主役が強くみえません。工夫を重ねて、主役にきられてから、くるっと一回転し、カメラに目線を向け、大きく身体をのけぞらせてたおれる、独自のきられ方を完成させました。
しだいに、福本さんは、「時代劇に欠かせない『きられ役』」と言われるようになりました。
二〇〇二年、福本さんのもとに、一本の電話がかかってきました。
「今度、ハリウッドで作られる『ラスト・サムライ』という時代劇映画に出ていただけませんか。」
と言うのです。世界的に人気のあるはいゆう、トム=クルーズが演じる主役を守ってかけのようにつきそう、さむらいの役を演じてほしいとの、申し出でした。
「えっ!わたしでいいんですか?」
はいゆうを始めて四十四年、目立たない「きられ役」を演じ続け、六十歳の定年を間近にひかえて手にいれた、初めての大役でした。
電話を切ってしばらく、福本さんは、動くことが出来ませんでした。
「どこかでだれかが見ていてくれるんやな。」
福本さんは、ぽつりとつぶやきました。
『ラスト・サムライ』は、二〇〇三年、世界各国で公開され、福本さんは、主なはいゆうの一人とした、世界にしょうかいされたのでした。
どうでしたか?いいお話だったでしょう。みなさんも努力を続けてくださいね✳