実家のお引っ越し
「祖父の手紙」
引っ越し準備で本棚からアルバムをようやく箱に詰め終えた後、
棚にプラスティック製の箱が残りました。重箱ほどの大きさです。
中には父方の伯父や伯母からの手紙が納められていました。
上から1つずつ開封しながら取り出していくと、下になるほど昔の
ものでした。
ようやく箱の底が見え始めたところでそれまでと異なる筆跡の手紙が
出てきました。
それは父方の祖父からのものでした。
私が生まれてすぐ、この世を去った祖父。
父からは「口答えをするとげんこつが飛んでくる、雷おやじだった・・」
と聞いていました。
突然、祖父と対面したような気持で手紙を読みました。
それは遠い昔、父と母が新婚旅行の最後に祖父宅を訪れ、
帰路に就いた後に書かれたものでした。
長旅のうえ、慣れない郷里での滞在に疲れたであろう母への
気遣いのことばが書かれていました。
また、父へは、『伴侶を亡くした親類が寂しい思いをしているで
あろうから、便りを出すように』と助言が書かれていました。
便せん1枚に、簡潔に書かれていました。
祖父の、その人柄に思いをはせたとき、
父の笑顔も思い出していました。
ぷちとま
