簡単に「ブリーダーのお仕事」を書いてみました。興味のある方はどうぞ。
●交配
♀にヒート(発情期)が来る。一年に2回が普通だ。最初の出血から10~12日ぐらいが交配の「適期」とされる。陰部が膨らみ、尻尾を寄せて♂を誘うようになる。
♀が♂を誘うのだ。♀が♂を選ぶ。人間もこれを忘れてはいけない。「♂が♀をモノにするのだ」…は♂の思い違いである。
犬の場合、♂の精子は48時間生きるとされているので、交配は1日おき。♂が夢中になる時は(時期の見落とし)が考えられるので♂に任せる。
交配が下手な♂もいるから、介助する場合もある。
自然界では…イヌ族の野生種は、どうなのだろう、と教えてもらった。
ヒートが来た♀は「妊娠適期」に自分が好む「強い♂」と交配する。「この遺伝子を残す」と決めるのはやはり♀。
その後、群れの中の若い♂を相手にする。交配の「練習をさせる」のだそうだ。
●出産
交配から62日が妊娠期間。最初の2週間は静かに過ごさせる。飛びついたりすると流産の危険が大きいからだ。その後は普通に過ごす。大事にしすぎて運動不足になると難産になる心配が出てくる。
1ヶ月ぐらいで乳腺が張ってきて、妊娠したかどうかが分かる。
50日が過ぎる頃にはお腹も目立って大きくなってくる。
お産の場所を整える。保温用のヒーターを使う。動かないようにヒーターの大きさ、厚みの分を切り抜いて、床をフラットにした「低いベッド」である。ベッドの周りはパピーがこぼれないよう低い壁で囲う。この壁を更に内側に折り曲げて「ひさし」 を作っておくと、仔犬の上に母犬が誤って乗っても潰されずにすむ。
このベッド、見開きの新聞紙がぴったり入る大きさ。ヒーターを中央に、周りは床だから「ヒーターが熱い」時に逃げられる。
いよいよお産が始まる。月の満ち欠け、潮の満ち干きに合わせるかのように、お産は満潮に向かって始まる。人が死ぬ時は引き潮に向かって…というから、動物のいのちもまた宇宙の力に支配されている。神秘を感じる。
陣痛が始まる。母犬は痛そうに眉を寄せる。やがて間隔は短くなり、いきみ始める。順調なら放っておいても産んでくれるが、最初の仔が産まれるまでは付きっきりになる。中にはいきんでも仔犬が産道から降りてこない場合がある。いきみ始めて6時間かかった例もあった。さすがに心配になり、産道に指を入れて仔犬の位置を確かめる。これで羊膜が破れていたり、逆子で手足が引っ掛かっていたりすると大変な話になる。胎盤剥離を起こすと命に関わる場合も出てくる。幸い、この時は羊膜も破れていなかった。
2仔からは順調。1時間に1頭くらいの間隔で出てくる。羊膜を破り、身体を拭きながら刺激する。最初の呼吸ができなければ鼻を吸って羊水を出してやる。
小型犬には死産もある。出てきたときには力がない。いくら蘇生しても無理だ。
「また産まれておいで」と、埋めてやる。
●哺乳
みんな必死に生まれてくる。元気に育ってくれればいいのだが。
母犬の乳首が小さく、あるいは母乳の出が悪く・・・生後1、2日のうちに仔犬が続けて死んだことがある。ショックだった。せっかく産まれてきても、こんなことがある。
ミルクと哺乳瓶で人工哺乳を試すが、あまり上手くいかない。
仔犬は吸う力がないから、シリンジでミルクを入れてやる。どうしても肺に入ってしまい、肺炎を起こす。
●離乳
無事にここまで来れば、もうそんなに心配はない。
2週間もすると目が開いてくる。這い回るようになる。歩き始めたらそろそろ離乳の準備。
私は「腸内細菌を増やそうね」と、ヨーグルトをやる。乳酸菌が生きているのがいい、とカスピ海ヨーグルトをやったこともある。最初はペチャペチャやっているが、そのうち舐めるようになる。ドライフードをお湯でふやかして「匂いつけ」に缶詰を少し。最初はほんの少ししか食べない。だんだんこの量が増えてくる。食べる量が増えると、出す量も増える…。ここから「人間の乳母」の仕事が増えてくる。
朝に、夕に…私は犬のために「おさんどん」をやる…これがブリーダーのお仕事。
●病気
母親のお腹にいる時から「虫」をもらってくる。胎内感染という。これは離乳の前に「虫下し」駆虫剤を投与。最近はフィラリアの予防薬で主な寄生虫も同時に駆虫する。
皮膚病は「ダニ」が原因になるものが多い。マダニ、ツメダニなど。これも薬で駆除する。
最近、天然物原料のサプリメントが出てきて、こちらを勧めている。免疫力が上がり、新薬のような副作用もないので安心。漢方+古代薬草学+最新の生化学…の産物で、有効な天然成分が体内で働く。
「犬猫の毛やノミ・ダニが子供のアトピーの原因!」といわれるが、「濡れ衣」のことが多い。
アトピーの原因は、ハウスダストや化学物質などの場合が多いのだ。天然のものは分子量が大きく、体内に入りにくい。化学物質は分子量が小さく、簡単に体内に入る。血流に乗り時速60kmで体内を駆け巡る。
むしろ私は「動物にどんどん触って、自分の免疫力を上げて」と。勧めるほうだ。