第五章市ヶ谷（４）

【法廷】⑥

ROCKEY4の一場面

今は　この時代へと逆戻りしている

松井大将は退役後、私財を投じてあの興亜観音を建立し、日本と中国の戦没将兵を慰霊しましたが、この観音像は南京周辺地域の土を材料にして作られたものだとされています。

ただ、付け加えておきたいのは当時の日本が中国をどうみていたか、日中戦争をどうみていたか、なんです。

松井大将は宣誓供述書の中でこう述べています。

「抑も日支両國の闘争は所謂「亜細亜の一家」内に於ける兄弟喧嘩にして…

（中略）　

一家内の兄が忍ひに忍ひ抜いても尚（？）且つ亂暴を止めさる弟を打揄するに均しく其の之を惡むが為にあらす可愛さ余っての反省を促す手段たるへきことは予は年來の信念にして…」

東條も裁判開始前の尋問でこう語っています。

（日中戦争は）「いってみれば家庭内のけんかと見ることができた。

つまり、中国という弟が「抗日」とか「排日」といった反日スローガンに象徴される、さまざまな不法行為を反省し、改めるよう教育したわけである。」

　（前掲「スガモ尋問調書」95頁）

これが当時の多くの指導者層の考え、中国に対する見方だったのではと思いますし、国民の中にもこうした考えは少なからずあったはずです。

少なくとも僕が中学生くらいまでは、日本はアジアの中で最も近代化されて優れているという意識が強かったですし、日本は先進国、中国は遅れた国という考えが主流だったと思います。

結局今のウクライナ紛争にしても、長引いている根底には

「西側諸国の方が東側諸国よりも上」

という考えがあると思います。

こんな考えのもとで本当に紛争が終わるのか、本当に対等な「友好」が生まれるのかどうか、普通に考えればわかりますよね...

次世代への伝言 ＃１３７ 第五章 市ヶ谷（４） 法廷⑥

次世代への伝言　＃１３７　第五章市ヶ谷（４）法廷⑥