俺のかーちゃんのとーちゃん。
鏡を見つめれば、そこにじーちゃんがいてくれてるって思える。


じーちゃんはとっても怖かった。
方言がきつく、何を話してるのか分からない時もあった。
とても頑固で、手はゴツくて、いつもタオルを首から下げていた。

おじーちゃんの香り。
忘れられない。
決していい香りと表現できるものではないが、
優しくそして、あのときを思い出す。


俺がまだ7歳の頃。
当時のおじーちゃんの家には囲炉裏があり、
そこに煙を外に逃がす煙突があった。
煙の通り道。

注意力を持って生まれていれば、起こらなかったのだが
残念な事に起こってしまった。

寄りかかってしまった。

その煙突に。


手だけが煙突に触れたのだが、全体重が手にかかり、大やけど。



そのとき、助けてくれたのが、じーちゃん。

必死なって薬草を探してきてくれて、
一生懸命やけどした箇所に薬草を巻きつけてくれた。
大きな大きな手で。
男の手で。

不安だった俺にずっと付き添ってくれて
安心させてくれたじーちゃん。
最後に「ごめんな」って言ったじーちゃん。

優しさを教えてくれたな。



時間は経ってあれから18年。
8年前から寝たきりの状態だった。

時々行って、会うじーちゃんは、どんどんどんどん
痩せていった。
いつからか、俺の手の方が大きくなり、
でも、その手を見るたび、優しさを思い出していた。
記憶は鮮明で、会うたび俺の名前を言葉に出してくれた。


最期に温かいおじーちゃんの手に触れられたのが今年の1月。





今日はたまたま実家にいた。
叔母からの電話でじーちゃんが、
今日から家族の心の中だけで生きて行くことになったと知らされた。

大きな手で守られたあの頃の感謝の気持ちをちゃんと
伝えてこよう。

じーちゃん。
鏡を見ればまた会える。

ありがとう。