この夏、ある男が死んだ。1936年生まれだった。

男はすぐに転生した。1970年のオランダはアムステルダム。船乗りになる予定だった。

十六になった彼は船に乗り始め、二十五の時には独り立ちした立派な船乗りになった。

グリーンランドとの往復、それが彼の仕事だった。

ピーターヘッド、サンボロー、レイキャビクの港を経由しあるいは停泊し、グリーンランドのいくつかの港に到着した。

北海の空は青く、風は冷たかった。舳先の切る波は白い。彼は自分の仕事に誇りをもっていた。水難事故に遭わない自分に感謝していた。

五十二になった時、再び死んだ。2022年の夏のことだ。とても爽快な一生だった。

なぜ死んだかは憶えていないが、仲間が水葬にふした。

前に死んだ時と同じ年の同じ月だった。彼は同じ時代を二度生きたのだった。

 

 

はじめこの話を聞いた時、これがパラレルリアリティ、多次元の生というものか、それを理解させるためのエピソードかと思った。

それからいっかげつほど経ったある日、閃光が降りてきた。(9月12日)

 

今生であまりに過酷で辛かった魂は、地獄にやって悟らせるより癒す方が魂の進化に見合っていると判断された場合、爽快な人生を送ったことにする癒しのプログラムがあると云うのだ。

完全なイメージの世界であるが、当人にとっては生々しい肉体の体験に他ならないのだそうだ。苦しみの記憶を和らげるために実行されるとのこと。

霊界も進化しているのだそうだ。

 

こんな話は初めて聞くが、そういうこともあるものかと思った次第だ。