ずいぶん前のことになりますが、ある人と話をしておりますと、共通の知り合いのことに話が及びまして、

「あそこは大きな家でしょ」

と、言うのです。

「もう、20年になりますか、建てている最中に旦那さんが亡くなられてね。しばらく中断していたのですが、再開して立派な、御殿のような家になりました」

よく知らなかったので、はあそうですかという顔で黙っておりました。

「あんな大きな家を建てるから、不幸が起きるんですな」

そう結論づけ、おヨメさんは保険金を手にして遊んで暮らしているだのなんだのと続けていましたが、耳に入りませんでした。

最後の物言いは、このあたりの人たち特有の暗いこじつけに思えました。その後にわかってきたことですが、この邑の人々は、何かにつけて、まるで関係ない事を強引に結びつけて人をヒナンする癖があるのです。御殿に姑と二人だけで住み、保険金で遊んで暮らしているおヨメさんも、わたしの知らない幾にんかの人について、やはりこの邑特有の暗い物言いをするのでした。

 

同じことについて、こんなことを言うひとがありました。

「家を建てている途中に人が死ぬのは、整理をつけるためです」

ここまで聞いた時点ではよく解りませんでした。

「家を建てたから人が死ぬのではなくて、その人が死ぬことになっているから家を建てることにしたんです。ーー身辺整理をするでしょ」

 

なるほど、と思いました。