「なあに、おらたちがこさえたからさ」と親方は言った。「一緒に働いていた連中は、皆死んだ」

 

「ここで、こうしてな」

 

「ここを作った工夫たちとそいつらから話しを聞いた奴や噂を聞きつけた奴らがーー」

一攫千金を狙い、罠にかかる。

「この家のあるじ供は、ネズミ捕りに掛けてコソドロを駆除したくらいに冷ややかなこったろうよ」

財産を狙う者をひとりひとり抹殺して根絶やしにするにはもってこいの方法かもしれない。山羊のブロンズの台座あたりで抱いた疑問が解けた。

「みな、前金を半分もらっていたから張り切って働いた。仕事が終わったその日の夕方、残りのカネと、めしを食わせてくれるというので集まった」

おおかた酒に毒でも仕込んであったんだろう。

「おらは、たまたま庭でしょんべんをして帰ってきたら、みな床に倒れてもがいていた」

瞭然。何が起きているのか了解した親方は、その場から脇目も振らず逃げ出した。

 

「最期の晩餐会に出なかった者は幾らかいた。野生の勘の鋭い奴らは死の匂いのする美味しい御馳走にありつくのを躊躇う」

その海千山千(ふるて)の具眼者たちを一疋ずつ誘い込んで根絶やしにする。なんという執拗な報酬なのか。

「地上が天国、地階が地獄、ここはさながらリンボー(煉獄)といった風情じゃて」

親方がそう言った後、ふっと静寂がよぎった。次にやることをやるまでの間隙。親方もわたしも身じろがず、声も発しない。さっきまでふたりの放っていた音の反響もおさまり、鍾乳洞のような冷たい静けさが充ちた。そこに、息を吐いてまた吸い込むまでの刹那がふたつ重なった。

と、その時だ。