この頃、安倍総理の批判に「彼は世界政府を樹立しようとしている」というものがある。
もしそれが本当だったら、大歓迎だ。
世界政府の樹立とはグローバリズムを指すのにちがいない。
昨今、特に保守系の言論においては、『グローバリズムは諸悪の根源』ということになっている。
したがって、反対勢力がそれを利用して、グローバリズム=悪 安倍=グローバリズム ならば、安倍=悪 という論法で足を引っ張ろうとしているのであろう。
だいたい安倍さんの批判にはおもしろいものが多くて、中には、『安倍晋三は朝鮮人だ。日本を第2韓国にしようとしている』とか『やつはCIAだ。アメリカの属国化を進めている』などというものまであって、なかなか笑える。
どんなに逆立ちしても日本が韓国になることはできない。それはほとんど我を忘れて幼児プレイに徹することを意味する。また、アメリカ国旗の51番目の星の座にふさわしい国はそうそうない。日本はアメリカの言いなりになってきたなどと言われてきたが、なかなかどうして、大局的に観れば、したたかな外交をやってきたことは歴史を振り返ってみれば簡単に理解できる。
独立性をより確保していくことはいつの時代にもテーマであろう。が、日本がアメリカの属国になったことはないし、そんなフリをして世論をおさめていたことが多いものだ。たとえば、黒船来航以来、日本人が望んでいた独立と平和は、奇しくも大東亜戦争の死闘と大損害のあと、米軍を駐留させるという方法で成し得ている。最大の敵を体内に抱き込んだ上に、周辺諸国に“いばり”を利かせてもらっている。これは、アメリカとは2度と戦争しないことを体現した姿だ。また、他の国とも戦渦を交えない宣言でもある。ある種の融和である。
問いかけてもらいたい。戦後、日本がアメリカの命令で戦争に巻き込まれたことがあったろうか? 朝鮮戦争でもベトナム戦争でも、湾岸戦争でも、金は出し、多少の後方支援はしたが、前線で米兵の楯になって死んだことがあるか、よくよく現実を直視せられたがよい。
お花畑、平和ボケ、と馬鹿にされるほど、平和を満喫してきたではないか。
これのどこが、属国なのか。
いまの米軍は、日本がなくては何もできない。技術提供にしろ、兵器整備にしろ、ほとんど対等な相互依存の関係にまで昇華している。アメリカの安全保障は、日本が握っている、と言っても過言ではない。
おそらく、日本はアメリカの属国であると声だかに叫ぶひとたちには、なんらかの隠された意図があるのにちがいない。
もし日本に何か問題があるとすれば、それはアメリカではない。わたしたち日本人自身の物の考え方や価値観、意識の程度にある。
日本にしっかりと軸足をつけた上で親米であってなにが不都合なのか。これがより適切な距離と阿吽の呼吸を覚えていくことが、両国だけでなく、世界各国に望ましい影響を与えていく最善の方法ではないか。
それをやれTPPを妥結したから裏切っただの、日韓合意したから名誉を傷つけただの、誇大妄想も甚だしい。名誉を抱き込んでうずくまり、鎖国でもしなければ気が済まない勢いである。そんな内股でナヨナヨしたような陰険な考えでどうする。“開国”を決意して命をかけた維新の志士たちにどう顔向けできるのか? 学び、議論し、発信し、堂々と世界と渡り合っていこうではないか。TPPにしろ日韓合意にしろ、支那に距離を置き、環太平洋に活路を開く明るい側面に目を向けるべきである。史実は中韓のプロパガンダとは著しく異なっていることを知った今、どこに傷つく名誉があるか。名誉を傷つけたことが罪悪だと非難するから責められていることに気づけ。だいたい、国際政治を総理大臣ひとりでやっていると見なすのは、自己否定の最たるものである。なにを締結しようが、運用はわれわれがやっているのだ。
独立とは決して、孤立することではない。孤立無援の戦いなど、観念に走ったつまらぬ侍のいたいけな感傷にすぎない。
それはもう、大東亜戦争で卒業するべきだ。これからは、あらゆる国との相互依存の関係を創っていくことである。互いが互いを尊重せざるを得ない結びつきをもって、どうして潰し合い、滅ぼし合い、奪い合いが起きるか。それは自滅行為とすぐに理解できるはずだ。
より高度な独立は、より高度な相互依存によってもたらされる。より高度な相互依存によってより高度な独立がもたらされる。
しかして、これから示していく武士道は、いかに世界中を平和ボケの住むお花畑にしていくかである。それに、命をかけるのだ。
よって、現代の『葉隠』は次のようになる。
世界統一政府を樹立することと見つけたり。それが、世界中のおおみたからを守る、武士の道である。
それは人知れず行なう、己との孤独で必死の対決であるかもしれないーー
