私はあなたの顔のシワに人生をみる


私はあなたの髪の白さに人生をみる


古ぼけたガラクタ、売り物にならぬ代物とはみない


年輪を刻んできた


酸いも甘いもかみわけてきた


成熟した魂をみる


あなたがどんなに髪を染め


そして厚塗りの化粧をしたところで


私はあなたの魂の放っている


光を見逃すわけにはいかない


神は細部に宿る


多彩な光を放つあなたの顔


悲しみ 喜び 怒り 恨み、辛み 憎しみ 苦しみ 至福 絶望 哀愁 憂い 心配 嫌悪 興奮


さまざまな情念によって刻まれてきたひとつひとつのシワ


ちょっとした表情


それに私は深みをみる


何層にも重なった情念の上に乗っかっている高度で繊細なニュアンス


言葉のひとつひとつ 態度のひとつひとつ 物腰のひとつひとつ


それらに 人生経験の豊かさを観じる


目立たない人かもしれない


いつもニコニコしているだけの人かもしれない


置物のような人かもしれない


けれども、その人の放つ 周囲に漂う雰囲気に その軽さに


むしろ 重さをおぼえるのだ


腐らず 諦めず 投げ出さず


ただひたすら人生を愛してきた人の顔の


なんと高貴なことか


きっと そんな人が怒ることがあるとすれば こんな時ではないか


高く伸びることを制限し ちいさな枠の中で怯え


ハートを忘れてしまった人の自暴自棄な行為を目の当たりにした時




私はあなたの顔のシワに人生をみる


私はあなたの髪の白さに人生をみる


古ぼけたガラクタ、売り物にならぬ代物とはみない


年輪を刻んできた


酸いも甘いもかみわけてきた


成熟した魂をみる