三日がすぎました。
リトルカーがいなくなったというので、みなうわさしあいました。
「あいつ、どこいったんだ?」
「猫にでも食べられたんじゃないか」
「まさかあ」
「旅に出るはずもないし・・・」
「もしかして、あそこに」
みなの目が迷路に向かいます。

そうさく隊が結成されました。
「おーい、どこにいるんだあ?」
「リトルカー、いるんだったら、声を出せ」
屋敷の周辺をくまなくさがしました。床下もさがし、蓮池もさがし、配水管も納屋も、とにかくリトルカーが行きそうなところは全部見て回りました。
「そこにいるのかあ?」
迷路に向かって呼ぶ声がします。それを聞いたリトルカーは、虫の息になっている息をますますひそめました。
「おーい、リトルカー」
「そこにいるなら、返事をしろー」
リトルカーは、ぴくぴくと耳を動かし、うっすらと目をあけました。そして、最後の力をふりしぼって立ち上がりました。とぎれとぎれのいしきの中でもまだリトルカーは、みんなから逃げる場所をさがそうとしていたのです。
「やっぱり、見てもらった方がいいんじゃないか?」
「そうだね、オーイ、スズメさん!」
呼ばれて、林にいたスズメが飛んで屋敷の軒先にとまりました。
「ちょっと、見てくれないかい?」
「オーケー」
言って、スズメは高い木に飛んでいきました。
「ねずみが一匹いる」
びくっとリトルカーは肩をすくめました。
(見つかった!)
もう、恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がありません。リトルカーは顔を両手でふさぎました。
やっぱり、とねずみたちはささやきあいました
「ゆうどうしてくれ!」
「いいよ」とスズメがこたえました。「でも、ーー」
「でも、なんだい?」
「もう、出口にいるんだ」
それを聞いたリトルカーは、なぜだか急に元気が戻ってきました。そわそわ頭を動かし、ヒゲをあげたりさげたりしました。
「リトルカートやら」とスズメは呼びかけました。「うしろを向いて、右に折れてごらん。そしたら、出るよ」
仲間たちが全員、迷路の出口の前に集まりました。

リトルカーは、ひどくバツのわるい気分がしました。どんな顔をしたらよいかわかりません。気取ったような何食わぬような、はしゃいだような沈んだような、ともかくリトルカーは手と足がちぐはぐのコッケイな動きをしながら、そっとみんなの前に姿を見せました。
「なにしてたんだい?」
「いや、ちょっと、ここで遊んでたのさ」
「いのちがけでかい?」
誰かが皮肉っぽく言いました。
「いや、その、まあ。楽しかったよ、とっても難しかったんだから」
リトルカーが照れたので、みんなドッと笑いました。

迷路を難しくしていたのは、いったいどこの誰なんでしょうね?




                               おわり