腰のちからが抜け、へなへなとその場にへたれこんでしまいました。絶望でノドから胃袋を吐き出してしまいそうになりました。
リトルカーがうつろな目でぼう然としている間にも、スズメはいくつか指示を出し、隣のねずみは無事に外に出たようです。
「アリガトウ」
気軽に礼を言うと、ねずみはリトルカーの迷路の前を走ってどこかに去ってしまいました。スズメもいなくなったようです。
助かる見込みがほとんどなくなりました。
もし万一、隣のしげみにもういちどねずみが迷いこんだとしても、もうなんの意味もありません。仮にこっちに誰かが入ってきたら、リトルカーは、なんとしても見つからぬよう最善を尽くそうと決意しました。
リトルカーは、うつろな目で空をみあげました。
この迷路は好事家の家主が趣向をこらした、とびきり複雑なもので、バラの木で作らせてありました。茎や枝の間を抜けたくても、密にからみ合っている上に、かたくて尖ったトゲが無数についていて、目を突いたり不用意にひっかけて内蔵が破れ出たりしたら大変です。
傷だらけになってよじのぼっていってよしんば、てっぺんにたどりついたとしても、茂みの上には目の細かな鉄のアミがかぶせてあったので、脱出はむりでしょう。ま、もっとも、リトルカーには初めからのぼる気は起きませんでしたが。
穴を掘ることも考えました。けれど、いったいどこに向かって掘り進めばいいのか見当もつきません。手の皮がぜんぶむけて、爪もはがれ、骨がむき出しになるまで掘っても外に出られる保証はどこにもないのです。
モグラじゃないんだから。とリトルカーは思いました。いっそのこと、本当に自分の足下にぐうぜんモグラが出てきてくれないかなあ。そうすれば、モグラのあとをつけてトンネルを通じて外に出られるかもしれないのです。
そんな都合の良い空想をしているうちに、リトルカーはぐったりと地面にひれふし眠ってしまいました。
*
夜になりました。
リトルカーは目をさましました。月が出ています。あたりではうるさいくらいに虫たちの音楽が奏でられています。ときどき遠くで猫の鳴く声もします。リトルカーは反射的にガタガタふるえましたが、よく考えたら、ここはどこよりも猫に安全なのでした。リトルカーの口から、ゆるいためいきが出しました。
おなかがすいていることに気がつきました。大好物のコオロギが鳴いています。でも、リトルカーに近寄ってくる虫などいません。
まてよ!
リトルカーはハネおきて、ポンと手小槌を打ちました。とびきりのことを思い出したのです。果報は寝て待てとは、まさにこのことなのです。
「右手法というのがあったな」
そうです。ひたすら、なにも考えずに、右側のカベづたいに行けば時間はかかるかもしれませんが、出口にたどりつくというあの、馬鹿ていねいな方法です。
クック。リトルカーはやっといつもの笑いがでました。なんてボクは利発なのだろう、と自分にほれぼれしてきました。
しかしそううまくいくでしょうか。
リトルカーがうつろな目でぼう然としている間にも、スズメはいくつか指示を出し、隣のねずみは無事に外に出たようです。
「アリガトウ」
気軽に礼を言うと、ねずみはリトルカーの迷路の前を走ってどこかに去ってしまいました。スズメもいなくなったようです。
助かる見込みがほとんどなくなりました。
もし万一、隣のしげみにもういちどねずみが迷いこんだとしても、もうなんの意味もありません。仮にこっちに誰かが入ってきたら、リトルカーは、なんとしても見つからぬよう最善を尽くそうと決意しました。
リトルカーは、うつろな目で空をみあげました。
この迷路は好事家の家主が趣向をこらした、とびきり複雑なもので、バラの木で作らせてありました。茎や枝の間を抜けたくても、密にからみ合っている上に、かたくて尖ったトゲが無数についていて、目を突いたり不用意にひっかけて内蔵が破れ出たりしたら大変です。
傷だらけになってよじのぼっていってよしんば、てっぺんにたどりついたとしても、茂みの上には目の細かな鉄のアミがかぶせてあったので、脱出はむりでしょう。ま、もっとも、リトルカーには初めからのぼる気は起きませんでしたが。
穴を掘ることも考えました。けれど、いったいどこに向かって掘り進めばいいのか見当もつきません。手の皮がぜんぶむけて、爪もはがれ、骨がむき出しになるまで掘っても外に出られる保証はどこにもないのです。
モグラじゃないんだから。とリトルカーは思いました。いっそのこと、本当に自分の足下にぐうぜんモグラが出てきてくれないかなあ。そうすれば、モグラのあとをつけてトンネルを通じて外に出られるかもしれないのです。
そんな都合の良い空想をしているうちに、リトルカーはぐったりと地面にひれふし眠ってしまいました。
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夜になりました。
リトルカーは目をさましました。月が出ています。あたりではうるさいくらいに虫たちの音楽が奏でられています。ときどき遠くで猫の鳴く声もします。リトルカーは反射的にガタガタふるえましたが、よく考えたら、ここはどこよりも猫に安全なのでした。リトルカーの口から、ゆるいためいきが出しました。
おなかがすいていることに気がつきました。大好物のコオロギが鳴いています。でも、リトルカーに近寄ってくる虫などいません。
まてよ!
リトルカーはハネおきて、ポンと手小槌を打ちました。とびきりのことを思い出したのです。果報は寝て待てとは、まさにこのことなのです。
「右手法というのがあったな」
そうです。ひたすら、なにも考えずに、右側のカベづたいに行けば時間はかかるかもしれませんが、出口にたどりつくというあの、馬鹿ていねいな方法です。
クック。リトルカーはやっといつもの笑いがでました。なんてボクは利発なのだろう、と自分にほれぼれしてきました。
しかしそううまくいくでしょうか。
