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するとそこに、SOSを聞きつけたスズメが飛んできたのです。

「どうしたんだい?」
スズメがたずねました。

「出られなくなったんだ」
ねずみが言いました。それを聞いたリトルカーは、馬鹿なねずみだ、と笑いました。もう、クックという声があたりじゅうに響きやしないかと気が気ではありませんでしたが、笑わずにはおられないのです。
両手でちからいっぱい口を押さえてもリトルカーは笑いをかみ殺すことができません。指のすきまから、もれ出してしまうのです。猫に追いかけられた時のことを思い出した終いに、リトルカーはやっとのことで深呼吸をすることができたのでした。

「それじゃあ、うしろを向いて」

スズメは一番近くの木の枝にとまって指示を出しました。そうです、ねずみたちはこうして迷路にまよいこんだとき、スズメに助けを求め、迷路の上から正解を教えてもらうのです。こんなことが時々はあるので、ねずみたちは先祖代々スズメに人間からせしめた食べ物のおすそ分けを欠かしません。

「そしたら、右にだけ道があるでしょう? そこを行くの」
スズメがさえずるように言いました。

リトルカーは確信しました。やっぱり、隣の迷路はこっちとまるでそっくりなんだ。ここもうしろを向けば、右にしか角がない。

また、笑いがこみあげてきました。自分はなんて頭が良いのだろう。リトルカーは、自負しました。でも、みなさんはそうは思いませんよね。本当に賢いのなら、迷路を難なく解くに決まっています。

さて、迷路の中にいるネズミにとっては死ぬか生きるかの難題でも、高い所から見ているスズメには、なんのこともありません。最短のルートを的確に教えることができるのです。

「右に曲がったら、十字路になってるでしょ」
とスズメが言いました。