リトルカーは、いっきに、いつものこずるい顔にもどりました。しょうしょう歯をむき出しにした耳までとどく細い口。それから、パラフィン紙よりも薄く閉じられつりあがった目。

顔にぺったりとつくようにはね上がったヒゲを小刻みに動かして、リトルカーは隣のしげみの様子に聞き耳を立てました。

ガサガサっと行ったり来たりする音がして、静かになりました。その位置は、ちょうどリトルカーのいるところから、いっちょくせんに横に移動したあたりでした。

(しめしめ)

リトルカーはほくそ笑みました。これで自分は、誰にも知られずにここを出ることができる!

実は、隣のしげみも迷路になっていたのです。

隣の馬鹿なねずみは自分の同じように迷路に入り込んで、自分と同じようにそのまま前に進んだけれど、やっぱり引き返そうとしておなじ角を間違えて、自分と全くおなじところで動けなくなったのだ、とリトルカーには思えました。

(あとは待つだけだ)

しばらくすれば、隣の馬鹿なねずみは、恥も外聞もなくあの方法をこころみるだろう。

そうすれば、自分も難なく外に出られるにちがいない。リトルカーは、そうタカをくくったのでした。まるで、鼻に木をくくりつけたようです。

「オーイ!」

あんのじょう、隣のねずみは声をあげました。