リトルカーは、庭の迷路に入りこんでしまいました。

これまでも仲間のねずみたちがここに迷いこんで出られなくなったことがありました。

そのたびにリトルカーは、クックと目を細めて笑っていました。笑っていると、耳のうしろの首のところが寒くなってきて、ぶるっと肩をつぼめてしまうのですが、リトルカーには、これが愉快でたまりません。

鼻のヒゲなんか、ぞわぞわっとかゆいくらいにしびれてきて、ピンといっせいに逆立つのです。

迷路に入ってしまった当初、リトルカーには余裕がありました。こんなところ、すぐに出られると自信たっぷりに思えたのです。いや、本当は怖じ気から出た強がりだったかもしれませんね。

角を三回曲がったところで引き返そうとしたのですが、どこをどう曲がったのか、かえって複雑なところに入りこんでしまったようです。

焦れば焦るほど深みにはまってしまい、とうとう行き止まりに行き詰まり、そこでピクリとも動けなくなってしまったのでした。

助けを呼ぼうにも、カッコわるくてできません。そして、それ以上に、孤独がこころにやってきて、ガタガタ、ガタガタ震えてしかたがないのです。リトルカーのうつろな目がまんまるく開き、奥歯はガチガチ音を立てて鳴ります。

(こまったことになってしまった)

リトルカーが、どれだけ大声をだそうと思案したか、わかりますか? もう、なんどもなんども口を開きかけては、のどまででかかった声を飲みもどしたのです。

さて、みなさんは、庭の迷路にまよいこんだ別のねずみたちが、どうやってそこから出たか知っていますか。

簡単なことなのです。この方法は、親から子へ、仲間から仲間に受け継がれた、いわば常識のようなものでした。

もちろん、リトルカーもじゅうぶんに知っています。