ハインツはかつて、みんなの作品の良い所をみつけていたので人気があり、誰からも慕われていました。それというのもハインツにはなにげないひとコマから大胆な空想をすることができたからです。その空想は絵を描いた者を満足させるのでした。ハインツは中等学校卒業後、半年だけ通った美術学校でも大人気で、いつも人が寄ってきました。
ハインツはボブの絵を見ていいました。
「なんだ、これはまったくの駄作だよ」
カンバスのふちを指紋がつくほど強く持ち、ハインツは続けました。「とくにこの構図、なってない」
そこはボブが試行錯誤を重ね、苦心して描ききった部分だったのです。
「これが、由緒ある絵画コンクールで大賞をとったやつの絵か?」
ハインツは唾を飛ばしながらののしりそしりました。ハインツは濁った目でボブをにらみつけながら、乾きたての絵を持つ手の親指でぐりぐりにじりました。
あ!
ボブはいまにも泣き出しそうな顔をしました。今度のコンクールに出そうとしている作品だったので、きがきではありません。
「なにを表現したいんだか、まったくわからないよ」まゆを八の字にたらしてせせら笑いながら言いました。「よくわからないよ。口で説明してくれないかな?」
そうしてハインツはボブの絵を放り投げました。
あっ
ボブはあわてて絵を拾い上げました。
「なんてことを・・・」
「ボブ、構図はこうだ」
と、ハインツはクレヨンを取り出し、ボブの絵の上から手直しをしました。
「や、やめろ」
「なんだ、おまえ、うまくなりたいんじゃないのか? ボクが手直ししてやるよ。ボクを信頼しているんだろう」
ボブはなにかを訴えたげな目に涙をためました。
「おまえは、人の言うことを素直に聞かない。そこがだめだ、ボブ」
「ボブ、お前は甘えている」
「コツコツ働くのが嫌だから、逃げで絵を描いてるんだろう、ボブ」
「ボブ、おまえは、もう田舎に帰れ」
「絵の世界は厳しいぞ、ボブ」
「ボブ、5年もやったんだ、もう充分だろう」
「おまえには才能がないよボブ」
言えば言うほど唇がさみしくなる自分にハインツは気づいていました。そうです。言葉はぜんぶ自分に突き刺さってくるのです。自分に襲いかかるそれらの言葉を払いのけようとして、なおもハインツはたたみかけました。
「ボブ、お前には絵をみる能力がない」
「ボブ、お前は苦労が足りない」
「ボブ、お前は性格がわるい」
「ボブ、お前は百姓の気持ちがわかっていない」
「ボブ、お前の絵は特技にすぎない」
「ボブ、お前は、ボクの絵の良さがわかっていない」
「ボブ、お前は人の心の痛みがわかっていない。そんなやつに、人を感動させる絵が描けるものか」
こう言ったとき、ハインツははっとしました。
ハインツはボブの絵を見ていいました。
「なんだ、これはまったくの駄作だよ」
カンバスのふちを指紋がつくほど強く持ち、ハインツは続けました。「とくにこの構図、なってない」
そこはボブが試行錯誤を重ね、苦心して描ききった部分だったのです。
「これが、由緒ある絵画コンクールで大賞をとったやつの絵か?」
ハインツは唾を飛ばしながらののしりそしりました。ハインツは濁った目でボブをにらみつけながら、乾きたての絵を持つ手の親指でぐりぐりにじりました。
あ!
ボブはいまにも泣き出しそうな顔をしました。今度のコンクールに出そうとしている作品だったので、きがきではありません。
「なにを表現したいんだか、まったくわからないよ」まゆを八の字にたらしてせせら笑いながら言いました。「よくわからないよ。口で説明してくれないかな?」
そうしてハインツはボブの絵を放り投げました。
あっ
ボブはあわてて絵を拾い上げました。
「なんてことを・・・」
「ボブ、構図はこうだ」
と、ハインツはクレヨンを取り出し、ボブの絵の上から手直しをしました。
「や、やめろ」
「なんだ、おまえ、うまくなりたいんじゃないのか? ボクが手直ししてやるよ。ボクを信頼しているんだろう」
ボブはなにかを訴えたげな目に涙をためました。
「おまえは、人の言うことを素直に聞かない。そこがだめだ、ボブ」
「ボブ、お前は甘えている」
「コツコツ働くのが嫌だから、逃げで絵を描いてるんだろう、ボブ」
「ボブ、おまえは、もう田舎に帰れ」
「絵の世界は厳しいぞ、ボブ」
「ボブ、5年もやったんだ、もう充分だろう」
「おまえには才能がないよボブ」
言えば言うほど唇がさみしくなる自分にハインツは気づいていました。そうです。言葉はぜんぶ自分に突き刺さってくるのです。自分に襲いかかるそれらの言葉を払いのけようとして、なおもハインツはたたみかけました。
「ボブ、お前には絵をみる能力がない」
「ボブ、お前は苦労が足りない」
「ボブ、お前は性格がわるい」
「ボブ、お前は百姓の気持ちがわかっていない」
「ボブ、お前の絵は特技にすぎない」
「ボブ、お前は、ボクの絵の良さがわかっていない」
「ボブ、お前は人の心の痛みがわかっていない。そんなやつに、人を感動させる絵が描けるものか」
こう言ったとき、ハインツははっとしました。
