Simple "L" type rear sight

照準は固定で孔を通すと100ヤード(91.44m)

上部にあるV欠きからは250ヤード(228.6m)

 

このLタイプは何時から採用されたのだろう?

 

M1928A1からM1へモデルチェンジされた時に採用されたものと

ずっと思い込んでいたが・・・・違っていました。

トンプソンは生産に時間が掛かり構成部品も高価になっている。

軍調達ともなれば生産性の向上とコストダウンは必須条件に。

こうした対応は自国の装備充実や同盟国への供給に大きく関わる。

 

よくよく調べて見るとM1928A1にはコストダウン化された

2ndバリエーションがあることが分かった。

複雑なライマン調整式リア サイトをよりシンプルな「L」型サイトに

変更することが提案され実施された。これにより照準器のコストが

大幅に削減でき、またトンプソンの完成時間の短縮にも繋った。

 

1942年2月24日付の契約番号 G-14 でサベージ社によって製造された

 M1928A1 に初めて取り付けられた。契約は40万丁の武器に関するもの

でシリアル番号が S-400,000番代に装着されそれ以降のすべての 

M1928A1 には「L」照準器が取り付けられた。

 

M1928Aに装着されたLタイプ(奥)と手前は調整式サイト

調整式サイトを見慣れている人にはLタイプはしっくりこないかも知れません。

 

Lyman製調整式サイトは当時銃価格の1/10の価格を占めていた。

M1921販売時は製品価格175ドルに対してサイトは1/7の25ドルでした。

 

これが鉄板を打ち抜いたか切削したかは不明だがL字に曲げ、2つの照準を付け

これで十分だとなるまで多くのコストを費やしたことになる。

Lサイトは引き続きLyman社が生産し後継機のM1へも取り付けられた。

 

Lタイプを装着したM1928A1とM1

 

コストダウンを計ったものの実戦の投入では・・・

L字に立った部分が衣服や装備に引っ掛かったり、落としたりぶつけたり等の

衝撃でLの部分が曲がってしまうという不具合が多発した。

 

曲がるにはかなりの衝撃が無いと曲がらない様な鉄厚だが・・・曲がった!

これをハンドで再調整するのは難しい。

これを受けM1生産では途中から保護板を立てた一体化成型品に変更された。

 

1943年1月に正式採用となったM3グリースガンにもLサイトが採用されており

同じ問題を起こしていたので引っ掛かりにくく強度のあるデザインに変更された。

  

 M3 Lサイト装着          変更後のサイト

 

トンプソン リアサイト

右:調整式サイト M1921、23,27、28、28A1

中:Lタイプ M1928A1、M1

左:保護板付き M1、M1A1 交換部品としてM1928A1にも

  取り着けれた物も見受けられる。

 

思い込みでいたことが正しいかは今ではネットや書籍で調べる事が出来る様に

なりました。

まだまだ間違った思い込みが有るかも知れません。その都度修正していきます。