旅行先からGoToキャンペーン停止の是非について考察 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

この三連休で、以前記事にしておりましたGoToキャンペーンを活用した旅行に出ております。好天に恵まれ、ここまで非常に快適な旅行を楽しんでいます。







さて、そんな中ですが、新型コロナウイルス感染拡大の第3波襲来に伴い、菅総理も感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時(および一部地域で)停止するなどGoToトラベルの見直す考えを表明しました。
新型コロナウイルス対策については安倍政権もそうでしたが、菅政権も世論に阿りすぎではないかと思います。

<実効性の疑問>
◯新型コロナウイルスが恐れられる理由
根本の話から始めますが、新型コロナウイルスがこれほど恐れられる理由は死亡および重症化リスクが高いと思われるからです。季節性インフルエンザとの比較はこの冬にある程度データが出揃うでしょうが、少なくとも現時点ではただの風邪よりもリスクが高い感染症であると言えます。
つまり最終的に減らさなければならないのは死者・重症者ですが、GoToキャンペーンの停止で増加を抑えられるのは死者・重症者ではなく新規感染者のみです。

◯新規感染者数の状況
もちろん新規感染者が新規の重症者・死者になるので新規感染者の増加を防ぐことに意義はあるのですが、過去記事[実効再生産数から新型コロナの拡大第3波ピークを予測 12月初旬から感染者減少か]でも書いたとおり、実効再生産数はすでに低下傾向に転じています。


連日新規感染者が最多を更新と報じられますが、この実効再生産数が1.00を下回れば新規感染者の数も減少に転じます。GoToキャンペーンを停止すれば低下傾向も加速するでしょうが、先の見えない拡大が続いている状況ならともかく、現時点で実行することを経済減衰リスクと天秤にかけると、やはりデメリットの方が大きいのではないかと思います。

◯GoToキャンペーンのタイムラグ
私は11/21~23の三連休でGoToキャンペーンを活用しましたが、予約したのは10月初頭です。どのように停止させるのか分かりませんが、単に新規予約をキャンペーン対象外にするのであれば、実際に旅行者が減るのは1~2ヶ月先です。
今から停止措置を開始したところで実効再生産数はすでに低下し始めているわけですから、第3波が収束しつつある状況で実際の政策が始まることになりかねません。

<経済減衰リスク>
先日、大手旅行代理店である近畿日本ツーリストが近畿日本ツーリストが従業員の1/3を削減し、店舗も2/3閉鎖するというショッキングなニュースが報じられました。大手企業でさえこのような状況であり、観光業界の苦境は極まっています。
(総務省2020年9月家計調査より)
東京がGoToキャンペーンの対象になる前ですが、9月の宿泊料は前年比▲25.7%なのでGoToキャンペーンの活用状況次第では前年並に戻っているかもしれません(74.3÷65%≒114%)。
しかしパック旅行費は依然▲61.4%であり、全件GoTo対象だったとしても38.6÷65%≒59.4%、まだまだ復調には程遠い状況です。

新型コロナウイルスの感染の広がり方やGoToキャンペーンの性質上、実際に被害を抑えるまで長いタイムラグがありますので、場当たり的な対応では効果は期待できません。
菅内閣は安倍内閣の新型コロナウイルス対応への右往左往を引き継がずに、毅然と必要な措置を進めてほしいと思います。