同時に「地域の繁栄の礎となるものが『自由で開かれたインド太平洋』だ。その実現にリーダーシップを発揮したい」とも述べており、かなり露骨に中国を牽制する意図が見られます。
何度も本ブログの記事に書いていることですが、RCEPの11月署名は菅総理が官房長官だった8月の時点で決まっていたことであり、菅総理の意図が反映されたものではありません。
なお過去記事[中国との関係を深化させる東南アジア諸国 親中国/脱中国の鍵は日本]で紹介したように東南アジア諸国は中国との関係を深化させつつあり、インドが抜けた今となっては日本のシーレーンを守るためにはRCEP加入もやむ無しという判断が安倍内閣時にあったのでしょう。メリット/デメリットが難しいバランスではありますが、個人的には『人の移動』を厳しく限定していれば賛成に回る協定だと思っています。
菅内閣の外交路線は安倍外交の踏襲と言われていますが、RCEP加盟国が多く参加し、逆にインドが不在のAPECの場にてほんの5日前に署名したRCEPに対抗する協定をアピールするだけでなく、『自由で開かれたインド太平洋』に言及するという姿勢は安倍外交より一歩踏み込んだ感があり、「RCEPは前政権のレガシーだから仕方ないが、俺の外交方針はもっと尖ってるぞ」という声が聞こえてきそうです。
菅外交に期待します。